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「こころの元気+」連載
どんなふうに伝えればいいんだろう?
SSTで広がる人と人の輪
認知行動療法の1種で、自分の気持ちを伝えたりコミュニケーションの練習をするSST(social skills training の略称「社会生活スキルトレーニング」)執筆者である池淵恵美さんは、ご自分の頭の中にしまわれているたくさんのSSTのスキルを、ぜひ皆さんに使ってほしいとこの連載を始めました。「こんなふうに言われたらどうしたらいい?」など、具体的なケースを紹介し、それぞれどんな練習をしていったのか、そのスキルを連載していきます。
ぜひ自分に合ったスキルを見つけて活用していただけたらと思います。
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▼各回のタイトル
▼2025年
5月号(219号)第2回 仲よしだった友人から「私を馬鹿にしてる?」と言われて…
4月号(218号)第1回 この連載について ←初回のため全文公開中
▼執筆者
池淵恵美(いけぶちえみ)
神経科土田病院/帝京大学名誉教授
▼執筆者よりご紹介:SST普及協会30周年記念事業を開催 くわしくは→コチラ
「人とつながるソーシャルスキル ̶ SSTで温かい社会を創ろう!」
■日程:2025年7月5日(土)~6日(日)
■会場:帝京平成大学池袋キャンパス
■海外からE.L.グランホルム博士とE.A.ローガソン博士を招いて講演予定
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▼SSTとは ⇨「ちょっと知りたい」より
○「こころの元気+」2025年4月号(218号)より○218号へ戻る
▼SSTとは?
SSTは、social skills training の略称で、日本語では「社会生活スキルトレーニング」と呼ばれています。
認知行動療法の1種で、自分の気持ちを伝えたり、人とつながっていくためのコミュニケーションの練習をします。
ロールプレイ(役割を決めやりとりを練習すること)やモデリング(まずお手本を見せること)など、行動しながら学習するのが特徴です。
▼SSTとの出会い
私がSSTに出会ったのは、1986年に米国の学会でロバート・リバーマン先生の本を手にとったのが最初です。
帰国後、1988年のリバーマン先生の来日をきっかけに、丹羽先生や安西先生のご尽力で東大病院デイホスピタルでSSTが開始されているのを知り、私もお手伝いすることになりました。
それまでの診療スタイルと異なる認知行動療法であったため、皆で四苦八苦し、初めは四角四面に型どおりやることに力を入れたため、あんまり楽しくなく、参加する人達のノリもいまいちだったことを記憶しています。
ただ地域で生活していく上でまわりの人とつながることは大切で、SSTの可能性は感じていました。
▼SSTの広がり
今から30年前に「SST普及協会」が発足し、仲間がたくさん集まり、病院だけでなく、福祉領域の事業所や矯正・保護領域、学校領域などへと広がっていきました。
近頃は「誰でもSST」とのネーミングで、それこそ誰でも参加できるSSTが広がっています。
▼皆で一緒に
私はSSTの枠組みの中で、皆で一緒に「どうしたらよいか考えていく」創造的な時間が大好きです。
診察室の中でも、たとえば「1人暮らしがしたい」という相談を受けると、白板を持ちこんで、ご家族やほかの医療スタッフにも加わってもらい、一緒に1人暮らしのメリットやデメリットを考えていきます。
そんな中で、本人が結論を出して皆も納得ということになると、本当にうれしくなります。
それからロールプレイは、いわば未来を先取りして行動の練習をするわけなので、それで自信がついて前に進んでいくことができます。
もっと人とつながりたい人は、ぜひSSTに参加してみてください。