コンボイス:リレー連載『リジツレ』第6回


◆リレー連載『リジツレ』◆
コンボ理事のみなさまはそれぞれの分野において第一線で活躍している方々です。
「リジツレ~理事の徒然~」は、そのようなみなさまの人となりが垣間見えるような、アットホームな雰囲気のエッセイをリレー連載するシリーズです。

 

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第6回『私が最近考えていること』
佐々木理恵さん(WRAPファシリテーター・ピアスタッフ)
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(この夏は夏野菜をモリモリ食べました。)

はじめて精神科にかかったのがいまから15年程前なのですが、この15年間の間に出来なくなった、というか時が止まってしまったことが私にはいくつかあります。

コロナ禍においての数少ない良かったこととして、パタパタと忙しくし流れていた時間が多少緩やかになった、と言う人が度々いらっしゃいます。私自身もその一人で、ミーティングやあれこれがオンラインに切り替わったことで逆に息つく暇がない日もあるのですが、それでも時間の流れが変わったように思います。そんな時間の中で、ここしばらく取り組んでいるのが家の片付けです。

いまほど健やかさを取り戻しておらず、仕事ができるほどのエネルギーもなく、長い時間をただただ家で過ごしていた時期の私は、郵便物などはほとんどが開封しないままドサッっと部屋の奥底に追いやっていました。また、薬の影響もあってか一時体重の増減が激しくて20㌔くらい増えたと思ったら、また20㌔くらい痩せたり(これはダイエットを頑張った!)。でも最近またとても体重が増えてしまっていたりでその間の洋服などがあまり整理されないまま眠っていたり。ほかにも人から頂いたもの、もう使う機会がないはずなのに何だか捨てずにドサッと溜まっていたものなどが家の中には沢山で、場所も取っていました。

ここ最近は空いた時間にYouTubeなどで「暮らしの工夫」とか「片付け」といったキーワードで検索をすると沢山の人が、暮らしやすさのコツを動画にして公開しています。これは私にとっては本当にヒントが沢山で、世の中の人はこんな風にしているんだ!もっと早くに知りたかった!と思う情報ばかりです。

調子がひどく悪かった時期は頭も回らず、身体もついて来ずで色々な事が止まってしまっていて、家に親が来るとよく「片付けなさい!」と言われていたことを思い出しますし、自分でも散らかっていたな…と振り返ります。けれどここ数年、少しずつ時間の余裕と共に、自分自身も以前よりも回復してきたこともあり、家に余白が戻ってきたように思います。そして何より、自分の住まう家の様子から、自分自身の回復を感じるようになりました。最近はまた自炊を楽しむことも戻りつつあります。

よくリカバリーは過去の自分に戻ることではない、と言ったりもしますが、限局的にみると過去の自分が出来ていたことを取り戻したりすることが、その時の感覚としては「昔の自分に戻った」と思えるようなこともあるんじゃないかなと思ったりもします。もちろん自分という一人の人や、自分の人生そのものは過去の自分とは違った今がある訳なのですが、それでも小さな範囲においては、過去の自分を取り戻したと思えるような感覚を抱いてもいいよね、なんて最近思うのですが皆さんはいかがでしょうか。

(2022/11/17配信)

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