コンボイス:リレー連載『リジツレ』第5回


◆リレー連載『リジツレ』◆
コンボ理事のみなさまはそれぞれの分野において第一線で活躍している方々です。
「リジツレ~理事の徒然~」は、そのようなみなさまの人となりが垣間見えるような、アットホームな雰囲気のエッセイをリレー連載するシリーズです。

*=*=*=*=*=*
第5回『私が最近考えていること:原点回帰』
中川均さん(NPO法人全国精神保健職親会 理事)
*=*=*=*=*=*


(シームレスな取り組みとは、、、)

私たちの団体、全国精神保健職親会は、福祉団体でも当事者支援団体でもありません、職親、「ショクオヤ」と呼びますが、精神障害を持った方を雇入れている企業者の団体です。多くの会社は中小規模の会社で、障害者雇用率(2.3%)の報告義務のない会社が多いのですが、あくまでも会社の重要な戦力として働いてもらうことを目的に雇用をしています。

最近、2000年前後の資料を目にする機会が多いのですが、当時の障害者雇用のメインテーマは知的障害者の雇用の義務化と厚生省と労働省との統合、が語られているものが多いのですが、精神に関しては「雇用?就労?」という感じでした。その後「自立支援法」「雇用促進法」と福祉と労働と合わせた施策が、多くの福祉・就労に関する施設が生み出すことになったわけですが、私たちの先輩たちは1980年代から精神障害者の雇用をされています。その当時は、医療現場から直接に依頼されて取り組んできたケースが多く、今のように福祉・就労の機関を経由した方はいませんでした。いわば医療者と企業が直接ケースワークをしているような熱い現場であったと聞いています。まずは職場体験、短時間労働(週一日とか)からはじめて、必要な配慮や訓練を繰り返し、根気よく「働きたい!」を支援する現場であったようです。したがって定着率も良く、20年~30年間継続勤務されている方も大勢います。

それでは現在はどうか?と言いますと確かに精神障害者の雇用は伸びてはいますが、定着率があまり良くない、なぜだろうか?と考えると医療現場から就労までの間がブツブツと切れながら長い、むしろシームレスに繋がるべきところが分断されている?と感じる場面が多い気がします。医療で「治療」し、福祉に送り出し就労移行事業所での就労準備プログラムに取り組み、その先で一般就労にチャレンジする、それが難しい方は福祉系の就労につくことになり、そこで立ち止まる方も多い、当然そこでは自立できるような賃金を得られることができない、というのが現状です。もっとシンプルに以前のように医療から雇用へとシームレスに導き出す取り組みができないだろうか?と考えています。コンボの活動の中でこんな疑問に答えられることができるといいなぁ、と考えています。

(2022/07/28配信)

★「リジツレ」のメインページ → こちら

★「コンボイス」のメインページ → こちら