トラウマインフォームドアプローチ チームで広がる可能性(187号)


※連載について→コチラ
トラウマインフォームドアプローチ
チームで広がる可能性(187号)

こころの元気+2022年9月号より
○戻る

 

第1回
連載内容と執筆者チームの紹介

今月の2022年9月から新しい連載「トラウマインフォームドアプローチ  ~チームで広がる可能性」が始まります。
今回は、本連載の簡単な内容と執筆者チームの紹介をしたいと思います。

 

▼連載内容

トラウマは誰でも体験しうるもので、医療機関での強制入院、教育機関でのきびしいルールなど、公的機関やサービスシステムがトラウマの再体験になる可能性があります。
このような背景を受け、アメリカではトラウマインフォームドアプローチ(TIA)、
すなわちトラウマの理解を組みこんだ対応を共通認識とする動きが見られます。

TIAを実行するには、いくつかの前提条件や原則があり、中でもピアサポートや協働が大切な要素になっています。
つまり、支援に関わる人達が対等な立場でチームとなり、信頼関係にもとづいて安全な場所を作っていくことが重要になります。

本連載では、当事者・家族・支援者からなる執筆者チームが、それぞれの体験をとおして、TIAの考え方やトラウマを乗り越える工夫についてお伝えしていきます。

 

▼執筆者チームの自己紹介

著:ユキ・アボカド(当事者)

はじめまして。境界性パーソナリティ障害、摂食障害、発達障害の当事者で、メンタルヘルスのインフルエンサーをやっているユキ・アボカドです。
思春期に精神科の病院を入退院しながら過ごし、今はゆるく通院しながら仕事とサーフィンとインフルエンサー活動を楽しんでいます。
本連載では私自身のリカバリーに欠かせなかった数々の「ヒント」を、当事者目線で体験談をとおして紹介していきます。
チーム連載、楽しみです!

 

著:吉田佳子(当事者家族)

ユキ・アボカドの母です。
親として理解してあげられず逆に娘のトラウマとなるような私の言動によって互いの悪循環となる苦しい生活から、少しずつ専門家の方々とつながることができ、また私自身も学び、回復する場(長谷川メンタルヘルス研究所の家族スキルアップグループ)に恵まれました。
TIAなしでは乗り越えられなかった親子のリカバリー体験を、この連載で伝えられれば幸いです。

 

著:宮城整(長谷川病院公認心理師・臨床心理士)

宮城です。
私は精神科病院で感情調節が困難な方の支援など、精神科リハビリテーションに携わっています。
また家族スキルアップグループにも関わっています。
TIAを学ぶようになって、私達の多くがトラウマの影響を受けていると感じています。
この連載で、私はおもに支援者の視点から考えたことを提供しながら、皆さんと学び合いたいと思っています。

 

著:山崎さおり
(長谷川メンタルヘルス研究所 公認心理師・作業療法士)

山崎です。
私は、さまざまな臨床場面でメンタルヘルスの分野に20年以上関わり、今でもどうしたら役立てるのかを試行錯誤する日々です。
特に、「感情と上手につきあうためのスキルトレーニング」に長らく携わっている経験から、参加者の方に多くのことを学ばせていただき、その中でも今回テーマとなるTIAが大切であるということも実感しており、これからチームで連載できるのを楽しみにしています。

 

著:片山皓絵(かたやまひろえ)
(長谷川メンタルヘルス研究所 公認心理師・臨床心理士)

片山です。
非常勤で心理職として働いています。
最近、当事者もご家族も、支援者を含む関係者も、トラウマを体験していることを実感するようになってきました。
だからこそTIAが必要だと感じると同時に、TIAをみんなに理解してもらうこと、TIAをみんなと実践することのむずかしさも感じています。
連載をとおして「TIAって、どうしたらいいの?」ということを、読者の皆様とも一緒に考えていきたいと思っています。

 

著:遊佐安一郎
(長谷川メンタルヘルス研究所所長 心理職)

こんにちは。長谷川メンタルヘルス研究所の遊佐です。
先月号(186号)までの連載「境界性パーソナリティ障害とつきあう」では、
境界性パーソナリティ障害、感情調節困難、トラウマ、トラウマインフォームドアプローチなどに関して、書かせてもらってきました。

今回の連載では、実際にチームで関わっているみんなが協力して体験してきたことと、そこから学んだことについて報告をしてくれることを楽しみにしています。
そしてできたら、時にはみんなと一緒に考える機会もあったらよいと思っています。

次回の予告
次回、まずは「TIAとは?」というテーマでお話しします。

 

こころの元気+2022年9月号より
○戻る