母親の長話(Q&A)


「こころの元気+」2016年1月号より


Q 母親の長話から逃れたい

44歳の男性で、うつ病を患っています。
20代で1人暮らしを始めましたが、5年前にうつ病となり、なかなか回復せず昨年実家に戻りました。今は高齢の両親と3人で暮らしています。
私の母親は何事につけても不安を感じるタイプです。田舎の特徴としてご近所の人間関係はかなり濃厚で、それによるトラブルも年がら年中発生しています。母親はそうした人間関係に常に巻きこまれ、そのたびに不安感が募り、私にグチや気にかけていることを長時間話します。いつ終わるのかわからないほど長々と話をして,私は疲れ切ってしまいます。
私に話しても解決しないのに、誰かに聞いてもらいたいみたいです。外では話せないから、家の誰かに聞いてもらうしかないと本人も言います。
私はこれがつらくてつらくて仕方がありません。朝から晩まで明るい話題はなく、近所のもめごとから人間関係の面倒な話をあれこれと聞かされます。
父親は一切話を聞きませんから、私にばかり話します。私がいなかったときはどうしていたのかと思います。
とにかく、私は具合が悪いのに、母の話を聞くとさらに落ちこみます。
経済的な問題もあり、しばらくは、家を出られそうにありません。また、家にいる以上、母親の話から逃れることはできません。
長々と話し続ける母親の話をどうやったら短く切り上げられるか、皆さまの知恵をお借しください。


A 正直に伝えてみたら (東京都)丸山真子さん

さぞつらかったでしょう。自分のことだけでもたいへんなのに,がんばっていたあなたは、とてもやさしい人なんですね。
でも人のことより、まず自分のことだと思うのです。自分を守ることも必要だと思うのです。
お母さんに「話を聞いてあげたいのだけれど、自分のことで精一杯で聞くのがつらい」と正直に伝えてみたらどうでしょうか? お母さんはあなたが元気でいることがきっと一番うれしいはずです。
お家にいるときはゆっくり休めるといいですね。お母さんとは,二人で買い物に出たりとか、お互いに気分転換ができるときもあると思います。
また、あなたの家のほうにある地域生活支援センターの相談電話や保健所などに相談したらどうでしょうか? もちろんお母さんにそういうところがあり、家族でも相談できることを教えてあげるのもいいと思います。
まず自分のこと、自分のことです。そうすればあなたとお母さんとの間にほどよい距離ができると思います。あなたも生活しやすいはずです。距離が近すぎるのはつらいですよね?
いつかあなたがお家を離れたとき、もっとお母さんといい関係を築けるはずです。
私もそんなときがありました。若い頃、両親と一緒に暮らしていて母と距離が近すぎるのに悩みました。だんだん自分が回復して関係も少しずつ改善され、今は別に暮らしていますが、2日に1度くらい電話をし、心配しあい、ほどよいいい関係を保っています。


A 逆の発想は? (千葉県)倉田真奈美さん

私も親と同居していたときに、母親のグチや父親の酔っ払い話にさんざんつきあわされました。
私は聴くのがそんなに苦ではなく、「へー、そうなんだ」と相槌を打っては傾聴していました。
なぜできたかというと、昔老人ホームで働いていた経験があるからです。認知症の方は同じ話を何回でもされます。それを、またかと聞き流したり、否定したりせず、今初めて聴いたように新鮮な気持ちで聴くのがプロだと先輩に教わりました。「その思い出が大事だから何度も話すのだから、何度でも聴きましょう」ということでした。
私はお年寄りの話は含蓄があり、ドラマがあり、すごく聴いていて楽しかったです。
質問者さんは、いかに逃れるか切り上げるかという方向ですが、逆の発想で、お母さんの会話を一方通行にせず会話にして楽しんではいかがでしょうか?
「それはどういう意味?」とか心を開いた踏みこんだ質問をしてみてはいかがでしょうか?
一方的な受け身ではなく、お互いに紡ぎあう実りのある会話に持っていけたら、その時間を楽しめるのではないでしょうか?


A 今は数分ですむように (長野県)のら猫さん

自分と似た状況かなと思いました。
自分は30歳くらいで実家の環境に耐えかねて家を出て、20年ほど県外で働いていました。しかし5年前にうつ病になり、会社の仕事のペース(残業が月に160時間)についていけなくなってリストラ、また実家へ戻り、グチを聞かされる毎日になってしまいました。
父親は若干痴呆があり、話すとさらにストレスが増えるからと、その分まで上乗せして自分へあたってくるので途方に暮れましたが、ある日「これでは症状が悪化するから」ときっぱりと釘を刺しました。実際、一人暮らし当時はありとあらゆることを一人でこなして、クローズドで働いて手帳2級だったのが、実家に戻ってからは、ひきこもりの手帳1級になりましたから。
もちろん、そのときはすさまじいケンカになりましたが、半日くらい放置してアタマを冷やしてもらったら、傍から見た自分の症状からも心あたりがあったのかどうか、際限ない長話は減りました。
ただ、あいかわらずマイナス思考でモノを言うので、たとえば昼食や晩飯を何にしようかといった他愛もない会話ですら陰気で、「金がないのにどうしたらいいやら」とか「献立を考えるのも面倒、つくるのはもっと面倒」などと不平を聞かされています。
それでも、今まで一日中延々とそんなことを言われ続けたのが、今はその数分をがまんすればすむようになったので、思い切って真正面から話をしてみてはどうでしょうか。


A 主治医から説明してもらう(東京都)りんごさん

私は統合失調症の40代女性で一人暮らしです。うつ病の薬をのんでいたこともあります。
お母さまの長話わかります。お母さまも、相談者さんに話しても解決しないとわかっていながら話さずにはいられない気持ちなのだと思います。
私自身も長話ですが、話したいときは、主治医、支援センター、役所の障がい福祉、保健所などに電話しています。病気に理解のある友人にはメールしています。メールの返信は相手の都合を考え、急ぎません。
私の母も長話です。幸い兄弟夫婦と同居しており、お稽古事の友人もいることから話し相手はいるようです。
しかし、病気の私との話し方は、発病当初は病気に対する知識や理解がないためとても疲れました。田舎なので患者家族会もなく、主治医が電話で私の病気について説明してくれました。
母は、家庭用の医学書から読み始め、遠くの大きい図書館に行って医学書を読んでくれました。しかし、うつ病のことに関しては理解がむずかしかったようです。
お母さまの長話ですが、具合が悪くてずっと聴いているのはつらいことを話していますか? 聴き続けるのはつらいことを話してみてはいかがでしょう?
「そろそろつらいから、話さないで」と伝えることも大事だと思います。
また、うつ病のことを主治医から説明してもらえないでしょうか?
一緒に病院へ行くか、電話で主治医から説明してもらうとよいと思います。


A 心理的・物理的な距離をとる(岡山県)ちよさん

私も母の話を聞かされて迷惑してきました。
対策は距離をとること。心理的な距離をとる、物理的な距離をとる。
たとえば母のいる時間帯は耳栓をしておいて、話を聞かない。毅然とした態度で!(ただ、反撃が予想されるため、ごみ捨てと買い物はするとか、何か家の役に立つことをしてください)。
次は、主治医と相談して母に話をしてもらい一緒に対策を考える。
たとえば一家で引っ越すとか、母に趣味を持ってもらい外出するように仕向けるとか、自分が散歩するなり、家の外周の補修などで外に出る。とにかく長い時間一緒にいないことです。
よく眠れるように薬をもらって活用しましょう。長話したくても、相手が寝てしまえば仕方なく自室に戻るでしょうから。
そしてご自身もたくさん趣味を持ち、母のことが気にならないくらい没頭することです。読書なら図書館にお弁当持参で1日いてもいいですね。庭があるなら、菜園をつくればとれたての野菜が食べられますよ。
でも、会話は生きているときにしかできないので、父母の生きている間に話をしたいこと、聞きたいことをリストアップして会話しておきましょう。
今年母が亡くなりました。私の場合後悔はありません。母の希望もできるだけ叶えてきましたから。
なお、親の身体の自由がきかなくなったら、医師や福祉事務所やケアマネさんや保健師さんに相談しながら父母の希望にできるだけ沿って自分のできるだけのことをしておくと、親孝行になり自分自身後悔はないですよ。
一人で悩まずに,周囲の人や友達や専門家などに相談して自分にストレスがかからないようにしましょう。自分をいたわって大切にしてください。