お風呂に入れません(本人)


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こころの元気+」2010年2月号「おこまりですか? では他の人に聞いてみましょう!」より
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Q お風呂に入れません

 私は43歳で、統失(統合失調症)になって13年目の女性です。

発病して何年かの間は、そうでもなかったのですが、ここ4年くらい前からは、お風呂に入りづらくなってしまいました。
通院や外出の前日には、何とか入れますが、何もないときは、1から2週間に一度入れるか、という状態です。

私は身体や髪の毛を洗うことにこだわり、時間をかけてしまうので、どうしても長風呂になってしまい、とてもおっくうなのです。
汚いとわかっていても、どうしても入れないので困っています。

皆さんは、そんなことはないでしょうか。
どうすれば、もう少し入れるようになるのでしょうか。
よい方法があったら教えてください。

※実は多いんです(日常生活あるある1位)→コチラ


A「式次第」をつくりましょう
新村朋子さん(富山県)


入りたくても入れない。
程度に差はあるかもしれませんが、私もそんな一人です。

入ったら最後、ピカピカの私になりたい。
お風呂に限ったことじゃありません。
洗濯、料理 …家事全部。
しかし、その気持ちが強ければ強いほど、なんにもできないんです。
「しなければ …しなければ …」と考えているだけで、もう疲れてできません。

ちょっとだけするなんて器用なことができないからやり始めると取りつかれたようになります。
しかし、こんな暴走は、身も心もとてもしんどいので、今はそんな私にならないよう、
「何にも手を出したくない」と、脳が自分を管理しているのでは、とカウンセリングの先生と推測しています。
それで、現実は、お風呂にも入れないし、片づけもまったくできません。

それで、先生と作戦を練りました。
学校の行事のときみたいに、「式次第」(しきしだい:手順などを決めたもの)をつくることです。

「少しずつ自分を盛り上げて、中身は興奮し過ぎない程度に量を抑えて、決まった時間や作業を終えたら終わりの準備を始めよう!」と。
最初は、中身をほんの少しにして(髪を洗うだけでも)、それができたら自分をほめてあげるようなストーリーを事前に準備してみてから、入浴にとりかかってみるのはいかがでしょう?
私もやってみます。

 


A そんな自分でも許せる
小松達也さん(千葉県)


統合失調症になって6年目の者です。

私も、お風呂で身体や髪を洗うことにこだわってしまい、毎日のお風呂を苦痛に感じています。
なので、冬には髪を洗うのは一週間に二度ぐらいですし、恥ずかしいことに、身体をすみずみまで洗うことは、一か月に一度ぐらいです。

ここで大事なことは、「そんな自分でも許せる」と思える心だと思います。
私は病気になって、以前あたりまえにできていたことができなくなる、という経験をいっぱいしました。
できることが減り、できないことが増え、そのたびに自己嫌悪に陥りました。

しかし、できない自分を嘆くよりは、できている・できることがある自分を認めようと思いました。
私は、歯みがきにもこだわりを持っていて、ひどいときには10分以上歯みがきをしてしまいます。

しかし、ふと思いつきました。
時間で区切って割り切ろう、と。
始めのうちは、きれいになっていない気がして、気持ちが落ち着かなかったのですが、今ではすっかり慣れてきました。
これを、お風呂にも応用して、「足り ないな」というぐらいの、目標を設定しています。
良くも悪くも、人間は慣れる動物です。

最後に、乱暴な言い方になりますが、「風呂に入らなくたって死なない」ぐらいの気持ちを持てるといいですね。


A まず湯船に入って
須藤仁志さん(神奈川県)


調子が落ちてくると、私もお風呂に入れなくなります。

女性と違って、髪が長いわけでもなく、ささっと洗えばそんなに時間はかからないものなのでしょうが、体を洗う、ひげをそる、歯をみがくなんてことをすると考えただけで、
「あ.ぁ、面倒くさい」
と考えてしまい、なかなかお風呂に入れません。

ただ、お風呂に入るということは、体を洗うことだけでなく、リラックスできるという効果もあります。
調子が悪いときにお風呂に入らず、そのまま床に入ると、次の日にだるさが残ってしまい、また動きたくなくなるような気がします。

体を洗わなくてもいい、とりあえず湯船に入ろうと思うだけでも、だいぶ違うと思います。
私は、人にすすめられて始めたのですが、調子が悪くなったら、文庫本や雑誌、漫画など、そのときの気分で読みたいものを持ち込み、まず湯船に入ります。
湯船に入ってしばらくたつと、だんだんリラックスでき、面倒くさいと思う気持ちもいくらか晴れてくるので、そうなったら体を洗います。
気分が上がらない場合は、体を洗いません。
活字が読めない場合は、音楽を聴くというのも効果があると思います。
入浴を、リラクゼーションの一つとして、考えてみたらいかがでしょうか。


A 幻聴さんと交渉
倉田真奈美さん(岡山県)


私は、そんなに長い間お風呂に入らないということはないのですが、調子が悪くなるとお風呂に入るのがひと苦労です。

幻聴さんが来て、「風呂なんか入る資格はない」と言うし、汚いまま自分を苦しめて自分いじめをしてしまいます。

そういうときは夫に、「お風呂入っていい?」と聞きます。
夫は、「もちろん入っていいよ、あったかくて気持ちいいよ、はいりはいり」と言います。
夫の許可をもらい、幻聴さんと交渉です。

「古傷が痛むし、温まるだけでも入らしてくれんですか?」
「臭いし体だけでも洗わしてくれん?」
「髪もはねるから洗いたいなぁ …」
とか。
で、なんとか幻聴さんと折り合いをつけて、お湯につかるだけの日もあれば、顔と体だけ洗える日もあれば、髪まで洗ってフルコースできる日もあります。
できる範囲でお風呂をこなせば、清潔に保てると思います。

きれいにできなかったり、洗えてない日は、デオドラントスプレーや香水をじょうずに利用します。
香水も、気分によってつけたり変えたりすると楽しいですよ。お風呂に入ると気持ちがいいし、気分も変わるし、自分を大事にしている感覚がして、自己肯定感が増す気がします。
少しでもお風呂に入って、自分を好きになってください。

 

こころの元気+」2010年2月号「おこまりですか? では他の人に聞いてみましょう!」より

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