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第127回
ピアサポーター(224号)
○「こころの元気+」2025年10月号より
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筆者:加藤伸輔
NPO法人 メンタルヘルス共創拠点 ピアウェル
代表理事
▼ピアサポーターとは?
「ピアサポーター」という言葉は広く使われますが、ここでは「障がいや疾患を通して得た経験を生かし、『ピアサポートの感覚』を大切にしながら、生きづらさをかかえる人のリカバリーを支える存在」として書いていきます。
ピアサポートとは、「同様の経験をした仲間同士の対等な関係性の中で生まれる支え合いの総体」(相川章子氏の定義より)です。
その中で感じられるあたたかく心地よい感覚を私は「ピアサポートの感覚」と呼び、この感覚こそが、ピアサポーターに最も大切な土台だと考えています。
▼ピアサポートの感覚との出会い
私がこの感覚を初めて実感したのは、デイケア帰りに友人と喫茶店で過ごした時間です。
「ここにいていい」
「自分にもできることがあるかも」
と感じたのを、今でも覚えています。
この体験が、私のリカバリーにおける「ピアサポートの原点」であり、ピアサポートグループ在を立ち上げるきっかけになりました。
▼ピアスタッフとしての葛藤
「ピアサポーター」は暮らしの中で自然に関わる存在であるのに対して、経験を活かして事業所で雇用契約を結んで働く職員は、一般に「ピアスタッフ」と呼ばれます。
私はかつてピアスタッフとして働いていましたが、この感覚を見失っていた自分に気づき、退職した苦い経験があります。
▼関わりを大切に
その経験から改めて感じたのは、「何をしてあげるか」ではなく「どう関わるか」が大切だということです。
ときには答えが見えないまま、共に悩み迷うこともある。
でも、そんな時間を共有することがピアサポーターの役割なのかもしれません。
ただ、無意識に「支援者らしさ」がにじんだり、「支える/支えられる」という構図が前に出ると、この感覚は遠のいてしまうので気をつけたいです。
▼場を共に創る存在
ピアサポーターにとって大切なのは、肩書きではなく、その場にどんな関係を共に創っていくか。
その本質は、その人の姿勢や眼差しに現れるのだと感じています。
こんな思いを胸に、2025年10月にピアウェルを立ち上げます。
これからも、ピアサポートの感覚を大切にしながら、ピアサポーターとして歩み続けていきたいです。
○「こころの元気+」2025年10月号より
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