「こころの元気+」2013年12月号(82号)「おこまりですか? では他の人に聞いてみましょう!」より
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Q いじめの記憶が人づきあいに影響
私は、統合失調症9年生です。
おもな症状は、幻聴と被害妄想です。
学生時代は親の仕事上、転勤族でした。東京から九州へ。
「いじめ」を受けたのは、父の故郷でもある九州に転入をしてきてからです。
小学6年生からの5年間、さまざまな人たち(大人も子どもも関係なく)からの暴力、暴言を受けてきました。
そのときの「いじめられた記憶」が今も強烈に残っていて、「いじめ」のニュースを見聞きすると、当時のことを思い出してしまい、つらいです。
転勤族だったせいか人とのつきあい方を知りません。
転校生は珍しいから最初だけ人が寄ってくるんですよね、あくまでも初めのほうだけ。
そのことで傷つきました。
社会人になり、結婚の申し込みをされたことがありました。
でも、私は断ってしまいました。
「おもしろがって、からかっているだけ」と思ったからでした。
相手は本気だったらしく、私はその人を傷つけてしまいました。
私には損な役ばかりが回ってきます。
学生時代に受けた「いじめ」の記憶を引きずっていて、新しい友人や恋人ができないのです。
私にだって「幸せ」になる権利はあるはずなのに…。
人づきあいの方法を身につけたいのですが、どうすればよいのかわかりません。
皆さんのアドバイスをぜひお聞かせください。
A これから出会う人は昔を知らない
/近藤仁美さん(岐阜県)
精神科に通い始めて8年生です。
症状は、パニック障害に始まり、うつ、イライラ、不安神経症、適応障害、薬物依存、不眠症などです。
母には「あんたは被害妄想や!」とも言われます。
私は、小学2,3年から中学卒業までいじめを受けていました。
原因は足が少し悪いからです。
体育や運動会では同じグループになるといやがられました。
私が一緒だとリレーなどで「ビリ」になるからです。
「いじめられた記憶」というのは誰もが心のキズとして残っているのではないでしょうか…?
「いじめ」のニュースを見聞きするのはホントつらいです。
当時のことを思い出してしまうのも、よくわかります。
私もホントに人とのつきあい方を知らなくて高校や専門学校に入ったとき、就職したとき、毎日ヒヤヒヤしていたというか緊張していたというか、自分からうちとけられなかったように思います。
いつも受身でした。
好きな人ができ、その人から告白されたとき思わず断りました。
足のことでダメになったらショックが大き過ぎると思ったからです。
相手は本気だったのでしつこく理由を聞いてきました。
結局、足のことを話してもつきあってくれて結婚し、子どもにも恵まれました。
「初めて母に親孝行ができたなぁ…」と思いました。
新しい友人や恋人…これから出会う人は、昔いじめられていたことは知らないので、そんなに臆病にならないでほしいです。
自信を持ってください。
もちろん誰にでも「幸せ」になる権利はあるので、幸せになってほしいです。
幸せになってください。
一番は”笑顔で元気にあいさつ!”でないでしょうか?
あたりまえのようでむずかしいかもしれないけど、これが最初に必要じゃないかと思います。
メールでも、手紙でも、電話でも、直接でも、まず、第一印象が肝心だと思うので、私はこれを心がけています。
A 自分を好きになって
/市川晴美さん(茨城県)
私は40代の躁うつ病(双極性障害)の女性です。
私も相談者さまと同じように学生時代にひどくいじめられて、記憶から抜けませんでした。
いじめの記憶は、いじめを受けた側にしかわからない、つらいものだと身にしみております。
相談された人づきあいのことですが、相談者さまは、趣味はお持ちですか?
まず趣味のサークルなどで、気軽な会話から始めてみてはいかがですか?
また、私の経験上感じたことですが、人はいじめを受けると自分を過小評価してしまいがちです。
まず自分を好きになってくださいね。
人を好きになるには自分を愛することだと、友人からその言葉を贈られて勇気をいただきました。
これからの出会いが、ステキなものであるように祈っています。
A 初めはむずかしくても
/ふぅさん(香川県)
私も人づきあいで悩んだことがあります。
小学校から中学校に進学したときのことです。
小学校は全校60人程度の小さな学校で、学年関係なく遊んでいました。
中学校は人数も多くなるし、上下関係のできてくるときです。
私も相談者さまと同じ統合失調症で、その頃には症状があったように思います。
緊張感が強く、うまく話せなかったり、休み時間も教室にいるようになり、友達はなかなかできませんでした。
まわりから陰口を言われているように感じたりする被害妄想もありました。
高校に進学した頃には、どこに行っても自分のうわさをされているように感じ、人の顔を見られないくらい人間不信におちいって、結局高校は中退しました。
今でも、友達にメールをするとき、「迷惑なんじゃないか」と思ってしまうことがあります。
メールがなかなか返ってこないと不安になるし、返ってきても本当にそう思ってくれているのか、と不安になります。
それでも信じるしかないのです。
こちらから勇気を持って連絡しないとメールは返ってきません。
今、私は専門学校に通っています。
まだ人づきあいは不安なところがありますが、なるべく自分から話しかけ、少しずつですが友達もできてきました。
初めはなかなかむずかしいと思いますが、相談者さまも勇気を持って自分から行動してみてください。
そうすれば、きっとよい友達、よい恋人にめぐりあえると思います。
A 心が癒される場所を探して
/野木星作さん(埼玉県)
私も小学生の頃に悪質ないじめを受けていました。
あなたが負った心の傷の痛みを私も共有しているつもりです。
一番つらかったのは、私をいじめる人たちの呼び出しを断れず、行ってみたら、私の数少ない友達からも暴行を受ける羽目になり、体の痛みと友達だと思っていた人物に裏切られたくやしさでいっぱいでした。
それ以来、心に負った傷は、私から「他人を信用する」という大切なものを奪っていきました。
いじめというワードは、表現として軽すぎると私は思います。
立派な犯罪、〝児童傷害罪?とでも名前をつけ、体や一生消えない心の傷に対し、それ相応の罪を与えるべきです。
いじめられた側に根深い心の傷が残るのに、いじめた側は罪の意識など持たず、過去も現在も未来もノウノウと生きているだろうという不公平さに、私は怒りの気持ちでいっぱいです。
しかしながら、結婚を望んでいる異性がいたというあなたには、人に幸福感を与えることができる人間的な魅力がたくさんあるのだと思います。
私は他人を信用できず、同性、異性の友達がなかなかできませんでした。
しかし、現在、デイケアに通うようになってから、私の殺伐としていた心が癒えてきたように思います。
心に負った傷を癒すのは、やはり、人のあたたかい心なのだと思うのです。
最近そう考えられるようになりました。
あなたにも心が癒される場所がきっとあるはずです。
ぜひ探してください。
A 積み重ねが人づきあい
/ふわりさん(静岡県)
私も一度、小学校の頃に転校した経験があります。
新しい学校にうまくなじめず、無視や仲間はずれといったいじめを受けました。
その体験から「相手が許してくれなければ友達になろうと思ってはいけない」と思うようになりました。
進学してから出会った友達にこの経験を話すと、彼女は「変なのはいじめていたほうであって、あなたは変ではない」と言ってくれました。
目からうろこでした。
自分を苦しめているのは、今はもうつきあいのない過去の知り合いの「記憶」だと思えるようになったのです。
すぐにそう思えるようになったわけではありませんが、何年もかかってやっとつらさから解放されました。
相談者さんの場合は、暴言や暴力を何度も受けたということで、私よりももっとずっとつらく深刻な体験をされたと思います。
簡単にはいかないかもしれませんが、相談者さんも、過去の人たちの記憶でしば自分自身を縛りつけたり、傷つけたりするのを少しずつやめていってみてはいかがでしょうか。
今つきあいのある友達や顔見知りとあいさつしたり、しゃべったり、そういうことを積み重ねていけば、それがすでに人づきあいですし、自分なりのつきあい方も身についてくると思います。そのうちには、だんだんと友情や絆が深まってくると思います。
「私にだって幸せになる権利はあるはず」という前向きな気持ちがあれば、だいじょうぶだと思います!
私も見習いたいです。
「こころの元気+」2013年12月号(82号)「おこまりですか? では他の人に聞いてみましょう!」より