WRAP(元気回復行動プラン)が大切にしていること(専門職)


こころの元気+ 2012年9月号特集より


特集7
WRAPが大切にしていること
可能性の扉はいつでも、誰にでも開かれている

久留米大学文学部社会福祉学科
NPO法人WRAP研究会
坂本明子


WRAP(ラップ:元気回復行動プラン)の魅力

“自分が元気になるためにつくった道具(ツール)であること” 私がWRAPを初めて知ったときに魅了された一言です。

WRAPの魅力を問われたら、今でも、一番に、私はそう答えることでしょう(その後で「その他にもたくさんあってね」と、次々と、長々と、答えてしまう可能性は大です…)。
自分が元気になりたいと願い、そのために自分でできることを考え形にした、いわゆる〝当事者性〟が根っこにあること。それがWRAPの魅力であり、私が最も大切にしていきたいところです。

WRAPは“自分を大切にしていいよ。自分の身体や心の声に耳を澄ませてみて、したいこと、やりたいことがわかるから”とあわただしい日常生活のなかで立ち止まって、自分に問いかけてくれる装置。
どうしてよいのかわからないときは、〝自分でつくったプランを見たら、何か書いていない? それに従ってやってごらん、なんとかなるよ〟って言ってくれる道具です。
ですから、他の人がWRAPをつくっておしつけたり、指示や操作できるはずがないのです。「いい感じでいるためにやるといいこと」に対する答えは、いつも自分のなかにあります。
自分のためにできることはたくさんあります。さらにいい方法が見つけたくなったら、WRAPクラスなどで学んだり、情報を得たりして、自分にあうものを選んでいけばいいのです。それは新たな発見や気づきに出会うわくわくする機会です。

次にプランをつくるだけではなく、行動することが大切なのだと思います。自分がいい感じでいるために、やりたいことがあったらやってみる、できることをやり続けること。たまには努力も必要、でも手軽に好きなことをやるのはなかなか楽しい…。
そうやって行動していくうちに、気がついたことがあります。どのような状況であれ、心も身体も含めて、私そのものが元気になっていくことに、自分を信じることができて自分の可能性が開けていくことに。
そして自分を大切に思うと同時に、他の人を大切にすることにつながっていく。自分でできることに取り組むと不思議な連鎖が始まるのですよね。

 

WRAPのクラスを開いて進行するWRAPファシリテーター

WRAPファシリテーターに大切なこと。それは、WRAPの価値と倫理を行動の基準とし、自分のファシリテーターとしての振る舞いを常に点検していくこと。

WRAPファシリテーターは特別な人に与えられる特権ではありません。ふさわしい、ふさわしくないと誰かが判断できることでもありません。WRAPは、ピア主導のツールであると、コープランドセンターでは明言しています。しかし、このピアは、精神科の病気の体験や精神医療の利用者を指してはいません。

WRAPでは、「障害の程度」や「病名」をまったく問いません。私も最初は、自分はソーシャルワーカーだから、ファシリテーターになれないと思っていました。でも「立場」や「職業」は自分が勝手に思いこんでいた障壁にすぎませんでした。なぜならWRAPを使って元気になりたい人が、WRAPでいうピアだからです。元気になりたい一人の人として、一人ひとりを尊重する、その姿勢が貫かれているのです。

ファシリテーターになりたい人はいつでも大歓迎。ただ、いい感じの自分でいるために、自分のWRAPを使っていることは条件です。
もちろんWRAPファシリテーター養成研修を受講してファシリテーターになったら、ファシリテーターとしての努力は欠かせないと思います。
可能性の扉はいつでも、誰に対しても開かれています。自分を大切にするために何を始めるか、そしてやめることさえ、あなた次第です!