空気が読めないといけないの(QA)


「こころの元気+」2015年9月号(103号)の「おこまりですか?」のコーナーより
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Q 空気が読めないといけないの

私は29歳の発達障害の男です。
よく「発達障害の人は空気が読めない」といわれますが、私も「空気が読めない」タイプらしいです。
たとえば、何人かでテレビドラマの話をしていても、ふと別の思いが浮かんでしまうと、そのことを話題につっこんでしまいます。
また、カラオケでも、友人達の知らないマニアックなアニメソングばかりをひたすら歌い、どん引きされて「お前とは二度と一緒に行かない」と言われました。
バイトでは、電車の遅延で出勤時間に遅れたとき、自分のせいではないため「すみません」と言わなかったら店長に怒られたのですが、その理由がいまだにわかりません。
初対面の人なのに、ゲームの話題を18分間1人で話していたら「いい加減にしてくれ!」とどなられたこともあります。
こうして書いているのは自分でそのことが「問題」だと認識しているわけではないのです。
10日前に親と話をしていて、これが「空気が読めない」ことの具体例だと教わりましたが、いまだに自分では何をどう読めばよいのかよくわかりません。
空気を読めないと生きていけないのでしょうか。空気を読めるようになると何かいいことがあるのでしょうか。
私は確かに人間関係がうまくいかないタイプだと認識していて、落ちこむこともしょっちゅうです。
他の皆さんはどうしているのか知りたいです。


A 逆説が成り立つのでは?/山彦次郎さん(静岡県)

私は吃音と統合失調症の31歳の男性です。
質問者様はアルバイトもして友人とカラオケにも行くとのこと。私にはどちらも無理です。すごいですね。
私が話をするのは家族とワーカーと主治医だけですよ。質問者様よりも狭い人間関係の中で生きています。
私の場合、空気を読む前に吃音と統合失調症の被害妄想があり、そこまで人間関係をもっていけません。
人間関係がうまくいかないタイプです。私は落ちこむどころか、あきらめています。
逆に、いっそのこと空気が読めなくても、受け入れてくれる人を探すというのはどうでしょうか?
そうすれば、空気が読めない自分を嫌悪する機会がなくなると思います。
むしろ、空気が読めないからこそ、うわべだけの見せかけの人間関係は自然淘汰され、もっと充実した中身の濃い関係が築けるという逆説が成り立つのではないかと思います。
空気が読めないことを風変わりでユニークだと肯定してくれる人がきっといるはずです。
だから空気を読めないことを悲観的に思う必要はありません。
多数派に迎合するのであれば、空気が読めることは必須条件でしょう。
ただ、少数派でいてもよいのではないかと思い、こうした一般論ではない回答を書きました。
質問者様は質問者様のままでいいと思います。私も多数派の荒波に負けないようにがんばります。


A 発達障害バンザイ!/やよいすみれさん(東京都)

私には相談者の方の空気が読めないことは病気には思えません。
カラオケでまわりの知らない歌を歌うのも、初対面の人にゲームの話を18分することも、バイトで電車が遅れ「すみません」と言わなかったことも、健常者でもあることです。
人間は自分の意見や感情を表現して生きています。
たとえ他人から変人扱いされても堂々と生きてください。
私は海外で教育を受け、職場もヨーロッパ系だったので個性を重んじる環境の中で育ちました。
日本での教育も受け、日系の企業でも働きましたが自然体で受け入れられました。
あなたはまだ29歳です。
性格のことをとやかく言われたくないのなら、技術を身につけてください。
高度な技術を持った人は職場でも社会でも歓迎されます。
それにはあなたの時間もお金も努力も必要です。
私にはそれは価値のあることだと思いますが、あなたはどうでしょう。
その努力がいやならば、まわりの空気に敏感になって、自分を殺してみんなにあわせるしかありません。
私はたとえ時間とお金がかかっても、技術を身につけたほうがいいと思います。
その目標に向かって生きていくだけでも、過程自体があなたを高め、まわりの人たちからも認められるでしょう。
どうしますか?


A 専門家に相談を/フカヒレさん(岩手県)

私も発達障害があります。
空気を読むのがむずかしいのなら、いつ、どこで、どんな立場の人と何をして過ごしているのかということをつかむようにするといいと思います。
あなたはどんなお友達とカラオケに来ていましたか?
アニメオタクの友達なら盛り上がっていたと思いますが、いなかったら、どん引きされてしまいます。
アルバイトなどの社会生活については、カウンセラーや支援施設のソーシャルワーカーさんなどに相談するといいと思います。
専門家のほうが発達障害の特性をよく知っているので、あなたの行動のクセについて話せば理解してくれますし、コミュニケーション改善のコツを教えてくれます。
どんな困りごとに遭遇し、どんな対応をしたのかをメモなどにまとめ、専門家に相談してみてください。
私も発達障害と告知されてから10年経ちますが、今でも困りごとがあれば主治医、大学のカウンセリングルームの医師や心理士に相談します。


A あなたが大事にすることは/樋川真さん(大阪府)

空気など読めなくても多少不便なだけで困ったりしません。
山本七平という人が『「空気」の研究』という本に日本人の社会における空気と水の存在について書いています。
空気を読み過ぎるとかえって自分の環境に重大な不都合が生じ、がんじがらめに空気に支配されたなら,水を差して緩和すればよいと述べています。
あなたが空気を読めない不都合よりも、空気を読まなくても人間関係に支障をおよぼさない人たちと交流するほうがよいと思います。
私もどちらかといえば空気を読むのは苦手ですから、そういうものだと思って人と接し、空気を読まなくても不都合を感じない人たちと交流しています。
いろいろな人がいますので「人と同じように接しなさい」と強要する人間とは距離をとればよいだけのことです。
「みんなと同じがよい」とか「みんなやっているからあなたもやれ」と、わからないことをやれと求めることを同調圧力というのです。
みんなと同じにふるまったからといって、それを求める人間たちは誰もあなたを守ってなどくれません。
あなたは、空気を読めないあなたのままで受け入れくれる人たちを大事にすればいいのです。
そう思います。
あなたの味方はきっといます。くじけないで生きてください。