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第125回
セクシュアル・プレジャー宣言(222号)
○「こころの元気+」2025年8月号より
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筆者:高橋幸子
医療人育成支援センター・地域医学推進センター
産婦人科 助教
▼セクシュアル・プレジャー宣言とは?
2019年メキシコで行われた第24回 WAS(World Association for Sexual health…性の健康世界学会)で「セクシュアル・プレジャー宣言」が発表されました。
『セクシュアル・プレジャー(快感・快楽・喜び・楽しさ)とは、他者との又は個人単独のエロティックな経験から生じる身体的および/または心理的な満足感と楽しさのことであり、そうした経験には思考、空想、夢、情動や感情が含まれる。』
とあるように、性的な快楽を得ることがポジティブに肯定されています。
ただし、他人の人権を侵害して得られるものではないことも改めて確認されています。
▼課題
性的な経験について語ることは隠されてきたものであるために、肯定的に語られることが少ないかもしれません。
性的な経験をポジティブに捉えることにたどりつくためには、セクシュアリティ教育の中でエビデンス(科学的根拠)と情報と人権にもとづく方法でセクシュアル・プレジャーを取り扱うことが重要であることも指摘されています。
▼オーストラリアで
2025年6月、第27回WAS(ブリスベン)に参加してきました。
「性的なポルノが思春期の子どもに与える影響について保護者が自分の子どもと語り合うにはどうすればよいか?」というフロアからの質問に研究者がこのように答えました。
①性をポジティブに捉えること
②SNSやメディアの使い方について語り合うこと
③ポルノを批判的に議論すること
▼伝え方
特別支援学校での性教育で、人前で、パンツに手を入れてしまう男の子に対する指導の仕方を教えていただいたことを思い出しました。
「自分のからだに触れるのって気持ちいいよね」
「プライベートゾーンは人前では触りません」
「汚いから触っちゃいけないんじゃないよ、きれいな手で触ります」
などと、くり返し、ていねいにポジティブに伝えましょうと学びました。
▼日本での課題
日本ではまず、性的な経験をポジティブに捉えるところから始めることが必要なのかもしれません。(⇨関連連載「性をタブーにしない」へ)
○「こころの元気+」2025年8月号より
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