子どもからの暴力と両親のグチ(Q&A)


「こころの元気+」2015年11月号より


Q 逃げたいけど逃げられない

10年以上入退院をくり返していた女性です。
離婚後、子どもと両親との生活が始まりました。両親は私の障害の受け入れも浅く、私へのグチも多くて逃げたい日々です。
両親のグチに加え、子どもは思春期となり、暴力をふるわれる日々。3人の子どものうち2人は軽い障害があるるため、逃げたくても逃げられません。
幸いにして、私の病気は悪くはならず維持している感じですが、貧血で、家でぐったりしていることもしばしばです。買い物は人の少ないときに、作業所の人につきそってもらっています。ヘルパーさんも週3回入ってもらい、すべておまかせです。
その日暮らしのような、今日をただ精一杯生きるといった感じで、とても怖く、つらいです。つらいから生きるのもイヤ。逃げたくとも逃げられない。死ぬわけにもいかず,話す人は作業所のスタッフだけ。グチを聞いてもらうのです。
友人はこんな話をわかってもらえず、悩み相談の人は事務的だし、そのたびに人が違って一から話さなければ…。 疲れました。私はどうしたらよいでしょうか。
何かアドバイスをお願いいたします。


A 悩みを整理(埼玉県)大野美波さん

お悩み拝読させていただきました。切羽詰まっている状態なのが痛々しいほど伝わってきました。
悩みを載せたのは第一歩だと思って間違いないです。皆さん誠心誠意答えを出してくれるはずです。あきらめないでください。
さっそくですが、悩みを整理したいと思います。
1.両親からの病気の理解がない
2.子どものこと
3.グチる相手がいない

1は一度病院にご両親を連れて行って、お医者様に説得していただいたらいかがでしょうか。
病気のことが書いてある本を目のつくところに置いて読んでもらったり、時間をかけて向き合いましょう。
2ですが、もう施設の力を借りないとだめだと思います。
障害者施設がいっぱいでしたら、暴力をふるうお子さんだけでも早めに更生施設に入れるのが本当の愛ではないでしょうか。暴力がエスカレートして取り返しのつかない事態になる前に行動を起こすべきだと思います。
一人でかかえこんでおられるようですが、どの問題も一人では解決できません。積極的にヘルプを出しましょう。ヘルプを出す人とグチを聞いてくれる人が一緒なのが効率的だと思います。
3ですが、一度小さな個人病院のカウンセリングを試してみたらいかがでしょう。
小さな病院だと異動もないし、ネットで調べればある程度の評判はわかると思います。
小さな一歩でも進んでみてください。


みんなの意見(岐阜県)岐阜のさくらさん

デイケアのLTA(ライフテクニカルアドバイス)というプログラムで、この質問についてみんなの意見を聞いてみました。
ここでは日常の困った場面やみんなに聞いてみたいことを話します。
まず、Aさん「僕の場合は親に心療内科についていってもらい、先生から家族に病気のことを話してもらった。まず親御さんの理解が必要なのではないでしょうか」
Bさん「家の中で閉じこもらないこと。子どもさんの障害の程度はわからないが、一緒に遊園地に行くとか、気晴らしをしてください。僕の場合はデイケアに通うこと、ボランティアに行くことが気晴らしになりますね」
Cさん「両親の受け入れがどうしてよくないのかをはっきりさせること。逃げよう逃げようとせず、環境を変えることが大切ではないでしょうか」
Dさん「気分がめいっているときは、顔を洗ったり音楽を聞いたりするといいよ」
Eさん「親に理解がないこと、子どもの問題は大きいですね。親御さんに精神障害者の親の会に出てもらうとか、子どもの障害も、そういう仲間と知り合うとかされたらどうかしら」
スタッフ「この方は、作業所にも通い、ホームヘルパーさんに来てもらい、相談者にも相談して社会資源をフルに使っていますね。にもかかわらず現実から逃げたいけれど逃げられないと思っています。皆さんが言われるように、親の理解をしてもらうこと、子どもと楽しく過ごせる生活の工夫が大事かな」
と言われました。


人生をもっと楽しんで (東京都)やよいすみれさん

人間は、誰しも幸福な人生をおくる権利を持っていると思います。相談者さんも、楽しく豊かな生活ができるように考えてみてください。
私は独身で一人暮らしですが、ときどきこのまま生きていてもあまりいいことはないと思うこともあります。
私は、ヘルパーは入れられず、一人分ではありますが、食事、洗たく、掃除はしています。食事などは、一人はあまりおいしくなく、なるべく仲間と食べるようにしています。
カフェでのお茶やプールの帰りの外食、ひと月に一度ぐらいの妹との実家での外泊と外食も楽しんでいます。経済的に許されるのなら、相談者さんも、ぜひそういった息抜きをしてください。
なお、貧血で寝ているのなら、主治医に相談して対策を講じてください。
お子さんの暴力はいけないですね。保健所に連絡すると対応できる場所を教えてくれるかもしれません。
それでも作業所に通われているとのこと、がんばっていらっしゃるのですね。
作業所のスタッフにグチを言うのは普通のことだと思いますし、ヘルパーを週3回入れているのはいいことだと思います。
たいへんな状況に置かれているのですから、できることはドンドン楽をしましょう。
ご両親からあなたへのグチもあるようですから、なるべく外へ出たほうがいいと思います。
幸い、貧血以外は大きな病気はなく、経済的にはそれほど困っていらっしゃるようではないので、自分の時間をつくって楽しんでください。


生活空間を分ける (愛媛県)TAKさん

お子さんを児童養護施設に預けられないでしょうか?
そしてご自身はヘルパーさんの力を借りながら、単身生活を営まれたらと思います。
そうすれば現状の、ストレスフルでいわれなき暴力からは逃げられます。心の平穏を取り戻し、規則正しい日常生活をおくって寛解に近づき、その先の就労も見えてくるのではと思います。
大家族では、まとめる人がいればよいのですが、誰かが誰かを攻撃している事情は危険ですし、心も休まりませんよね。
私がワーカーで相談を受けたとしたら、親、あなた、子どもたちをそれぞれ3つに生活空間を分けて生活してもらいます。そこからまた新たな自立への一歩が始まると思います。
離れて暮らすことで、実は親や子ども祖父母は意外と役立っていて、ありがたかったんだと回想して感謝してくれるとよいかなと思います。
距離が近すぎてぶつかっていたことも、遠いと、お互い「どうしてるかな」と思いやりの心も芽生えてくるように思えます。
お子さんはまだ小さいようですし、将来があるので、ぜひ一般社会に溶けこめる形で支援して、当事者さんも寛解して職場で必要とされる人材にぜひなってほしです。
そう、お母さんはまだ若いでしょうし、お子さんもこれからです。
ぜひストレスから解放され、それぞれ自分が楽でいてほしいです。


親の会などで話すだけでも(大阪府)あおやんさん

統合失調感情障害の30代の女です。
相談者の方のお子さんのことは、もし、知的・発達障害か身体障害であれば、児童デイサービスに預かってもらえるのではないでしょうか。精神障害だったとしても、もし不登校であればなのですが、フリースクールに通ってもらうことはできないでしょうか。
私は子どもはおらず、家で暴れたりすることがあるので子どもの立場なのですが、自分が家でひきこもったりしているのに、母が外に出かけると、イライラしてあたってしまうことがあるのです。
相談者の方も作業所に行かれているということで、そういうのを見て、子どもさんもイライラされているのかもしれません。
子どもさんも、通う所ができて、友達ができたりすると、気分が変わってよいのではないかと思います。
相談者の方と子どもさんを支援してくれる所を分けて、一人でかかえこまないことが大切ではないでしょうか。
作業所で子どもさんのことを支援してもらうのはむずかしいかもしれません。フリースクールはお金がかかりますが、良心的な値段の所もあるようです。デイサービスやフリースクールだと、職員の方に相談でき、親の会がある所もあると思うので、そこで話をするだけでも楽になれるのではないでしょうか。
一人でがんばりすぎず、少し支援してくれる所に頼ってみてもいいのではないでしょうか。
相談者の方が、自分を追いつめすぎず、楽になれるよう祈っております。