後からわかったその理由(家族・友人)


こころの元気+ 2014年10月号(92号)特集5より


後からわかったその理由

当事者の方が攻撃的になったり、テンションが高かったり、周囲の人が理解できない行動をとったり、自分を傷つけたりするなどの行動の理由を、そのときは理解ができなかったけれど、後になって「ああ、そういうことだったのか」とわかった「気づき」です。


精一杯病気と向き合っている夫
千葉県 下島ゆかりさん

夫の体調に波があるとき、仕事に行けなくなってしまうことや「死にたい」と言う夫へ、私としては、はげましで言っているつもりの言葉に、夫から「追いつめないでくれ」って言われることがあります。
私としては、追いつめるつもりではないと思っていましたが、その反面どこかで夫の甘えだと思う気持ちもありました。
特に仕事に行けないことに対して、甘えだと思うことがありました。
それを夫に言うと、夫は普段見せない行動をとり興奮して薬を多めにのんだりしました。
後からわかったのは「見守るしかないのだ」ということです。
わかっていても、理解してあげる気持ちより、「どうして?」という気持ちが先に出てしまい、追いつめるように言ってしまうことが夫を責めているのだと、私自身に言い聞かせています。
今までは、私自身、枠にはめて夫に話をしていたことにも気づかされました。
夫としては、精一杯病気と向き合って生きているのだということが後からわかりました。


状態が悪くなる前触れだった
青森県 小笠原和繁さん

私には精神保健福祉センターのデイケアで友達になった人がいっぱいいますが、その中のひとりが1985年に流行したバンド「C-C-B」の大ファンで、彼はCDではなく、レコードで彼らの曲を聴いていました。
私はコンポにレコードプレイヤーを備えていたので、彼から「C-C-B」のレコードを預けられました。
2001年、彼から毎日のように「今日、C-C-Bの○○を録音して」と言われて、言葉通りにカセットテープに録音して渡しましたが、さらに毎日毎日曲順違いで録音を要求され、渡すときに彼は精神科病院に入院してしまいました。
私は当時、こういうのが“状態が悪い”ということだとわからずに、あたりまえに言われるがまま録音して、渡していました。
彼は悪性症候群だったみたいで、精神保健福祉センターでたくさんコーヒーやら水やらを飲み、常にハイテンションで人を傷つけることを言ったり、揚げ足をとったりしていました。
私も、毎日毎日録音を要求され、おかしいなとは薄々感じていたけど、状態が悪くなる前触れだとは気づけなかったのが今もってくやしいです。