映画に見る家族──『パーマネント野ばら』から(医師)


こころの元気+ 2013年12月号特集より


特集7
映画に見る家族──『パーマネント野ばら』から

恵生会南浜病院
後藤雅博


精神疾患をかかえた家族の混乱や絆、愛を描く映画が最近多いように思えます。 
その中で今回は『パーマネント野ばら』(菅野美穂主演、吉田大八監督)を紹介します。 
原作は西原理恵子の同名漫画で、彼女の故郷がモデルと思われる小さな漁師町での物語です。

「パーマネント野ばら」は「野ばら美容院」のことで、主人公の「なおこ」は離婚し、娘を連れて母の経営するこの美容院の手伝いをしています。
映画の前半は、町に一軒の美容院に集まる女たちのさまざまな悲哀やいさかい、「なおこ」と幼なじみの「みっちゃん」や「ともちゃん」の男運のなさ、3人の深いつながりの置かれた状況や住民のうっくつを象徴するようです。 
なおこ自身も学校の教師と恋愛関係にあり、密ひそかに逢おう瀬せを重ねていますが、なかなか進展が見られません。 
ユーモアとペーソスをベースに、時に猥わい雑ざつに、時にしっとりと「なおこ」たちの物語は進んで、あっと驚くラストシーンにつながるのですが…。

誰もが病んでいたり、困難や問題をかかえていて、それは家族だけで支えたり解決できることではなく、ピア(友人、幼なじみ、同じ問題をかえる人)のサポート、地域コミュニティ(隣近所、集まる場所としての美容院)に家族が開かれていることで、初めて家族の機能も発揮できるということが強く印象づけられます。

全体としては浦河にある「べてるの家」や映画『人生、ここにあり!』にも共通する雰囲気が感じられます。
この作品の原作者、西原理恵子の元夫で戦場カメラマン、鴨志田穣(2007年死去)の自伝的小説を映画化した『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』も、同じ意味でおすすめです。