私のいいところってどんなとこ? 他の人に聞いてみました(本人)


こころの元気+ 2011年5月号特集より


特集1
私のいいところってどんなとこ? ~他の人に聞いてみました


「そのまんまでいい」
新潟県 D.Bさん


私のいいところを母に尋ねてみると、母は、
「うつ状態をやっと抜けたばかりの頃、第九に挑戦したことや、資格を取るために、通信教育にチャレンジしたことなどをあげ、そういうところがいいと思って応援した」
と言いました。
また、感じがいいと思っていることや、「そのまんまでいい」と言ってくれました。
職場のTさんにも思い切って聞いてみると、「こつこつ努力するところがいい」、「そのまんまでいい」と母と同じことを言いました。
「そのまんまでいい」と言われると、自分のことを全部肯定されているような、支えられるような、安心できるような、自信がつくような気持ちがしました。
「頭が悪いと思わないか」と聞くと、「むずかしい本を読んでいる、すごいと思う」と言います。「もっと自信をもっていいよ」、と言います。
離れた町に第九の練習に夜、車で通い通したことで、私の車の運転を信用できるようになったことを母は言いました。
大きいことも、小さいことも、挑戦をして、それを続けると、信用してもらえることを知りました。
これからも応援してもらってチャレンジしたいです。思い切って聞いてみてよかったです。

 


短所が長所に
埼玉県 新垣静香さん


私は最近、「芯がしっかりしている」といわれます。
見た目はふわーっとしていて、ぼーっとしているように見えているようなのですが、一度話をすると、自分の意見をしっかりといい、好ききらいもハッキリといい、自分の夢や信念をきちんと相手に話し、実行している、とのことです。
今までは、自分の意見を言ったり好ききらいをきちんと提示すると、わがままだといわれてきました。
子どもの頃から大人になるまで、わがままだといわれて育ってきました。
でも、
「自分の意見がしっかりといえずにあいまいにする大人が多いなか、きちんと自分の考えをしっかり言えるのは尊敬する」
と言ってくれる人がまわりに出てきました。
ずーっと自分の短所だと思って、時にはイエスマンになっていたこともありました。
うつ病になったときは、ちょうどその時期だったと思います。
社会人一年目で、ベテラン社会人を前に自分の意見をいって反感を買いたくなかったからです。
けれど、今の日本人に足りないといっても過言ではない「自分の意見をはっきりと相手に伝える」ことをほめてくれた人がまわりにできたことが、私の自信につながりました。
短所も、考え方によってはものすごい武器・長所になるんですね。

 


やさしいと言われてうれしい
東京都 香菜世さん


自分のいいところを、一番身近な母に聞いてみました。
いくつか言われたなかで、母が力説したのが、とにかくやさしいということでした。
誰かのために何かをしてあげるという物理的なやさしさだけではなく、偏った見方をせず、平等で対等を求め、相手に寄り添って考えるやさしさで、相手を理解しようと努力するやさしさだそうです。
話を聞いて、自分のやさしさがいいところだとは思わなかった私は、やさしいと言われたことにうれしさを感じました。
また相手を理解しようとする、ということから努力家だとも言われ、本当に驚きました。
「人は思っているほど自分を見ていないよ」
と、病状が悪化して外出するのが困難な際によく言われてきました。
ですが、人はやはり思っているほどまったく見ていないわけではなく、私のいいところはきちんと見ていてくれるのだと思いました。
病気をもっているからこそのマイナスパワー。自分の気持ちは自分にしか変えられないので、マイナスにマイナスをかけるとプラスになる計算式のように、私は自分のマイナスをこれからもプラスに変えられるように、そのときのありのままの自分を、持ち前のやさしさで包み込み、受け入れてあげたいと思います。
この原稿を書くにあたって、支援センターの友達や職員さんに、「私のいいところ」を尋ねてみました。
そのうちいくつかは、自分でも予想がついていたことでしたが、「意外だな」と思ったのは、職員さんからの「自分のしんどい所から逃げない」という


私の意外ないいところ
大阪府 神澤郷子さん


この原稿を書くにあたって、支援センターの友達や職員さんに、「私のいいところ」を尋ねてみました。
そのうちいくつかは、自分でも予想がついていたことでしたが、「意外だな」と思ったのは、職員さんからの「自分のしんどい所から逃げない」という意見でした。
「でも私、とっとと逃げますよ。苦手そうな人とかシチュエーションにまきこまれそうになったら」
と私が言うと、職員さんは、
「自分のしんどさに蓋ふたをしないで正面から見てるから、心の安定を守るために素早く行動できるんです。無理がきてると思ったとき、そこから離れるのは、実はとてもむずかしいこと。弱さを認めるっていうことですからね」
と答えてくださいました。
私は、困難にぶちあたったとき、すぐに逃げてしまう自分がきらいだったので、そんな風な見方があることに驚きました。
この他にもいろいろなことをあげていただきましたが、どれも七年間通所しているうちに培われたことでした。
ある程度持ち合わせていたものかもしれないけれど、長所は周囲のおかげで成長する所も多い、そう実感した取材(?)でした。