だからピアグループ(自助グループ)がある(本人)


「こころの元気+」2007年12月号より →「こころの元気+」とは


人は一人では生きられない――だから自助グループがある
加藤道広/栃木県/おたすけclubぴあかん

本音で語り合える場所

私は数年前から「ぴあかん」という当事者クラブを主宰しています。メンバーには、「ぴあかん」とは、仲間同士助け合うことと説明していますが、私自身、医者でも福祉の専門家でもないのに、
「なんでこんな活動を始めちゃったのかなぁ…」
「仲間って何? 助け合うって?」
と悩む毎日です。でも、毎週休まずにミーティングに参加できたのは、他では絶対に味わえない楽しさ、居心地のよさがあったからです。
あなたは本音で語り合える場所が身近にあれば素晴らしいと思いませんか? 親きょうだいでも、親きょうだいだから話せないことってあると思います。「ぴあかん」ではそれが話せます。なぜでしょう?――他人だからです。なぜでしょう?――深い絆・信頼で結びついているからです。
では、悩みを他人に話すだけで問題は解決するのでしょうか? 問題は何も解決しないかもしれませんが、物ごとの感じ方はずいぶん楽になります。
まさに「話す」ことは、「手離す」ことですね。
私は、ある病院、あるグループでの貴重な体験のおかげでこんなふうに考えられるようになりました。出会った仲間たちには感謝感謝です。

仲間の生の声

人は一人では生きられないのですね。賢くあろうとすればするほど、愚かな自分に気づく自分がいました。魂と魂がふれあう数分間といったらおおげさな表現でしょうか?
私は気分障害をもっています(でも、うつ病・そううつ病という病名には何か違和感があります)。独善的な言動を仲間に指摘されぬよう「ハートピアきつれ川」の研修会や、「こころの元気+」で勉強するようにしています。
でも、ヘマばかり…。私が参加している「うつ病友の会」について少し紹介します。「うつ病友の会」は、うつ病体験者が主体となって、その回復・再発防止を願う会です。
平成一四年に民間の「とちぎセルフヘルプ情報支援センター」のサポートを受けて設立されました。会長も会則もなく、いわゆる組織を持たない組織として毎週オープンミーティングを開催しています。
「うつ病友の会」の連絡ノートから仲間たちの生の声を紹介します。「自分がうつ病だという自覚ができた。学習の意欲もわく」「本音で話す場ができ、一週間のリズムがより楽しい」「自分の発言で他の参加者を傷つけてしまったのではないかと後悔する」「医療関係者の指導・援助がほしい」「純粋に当事者主体のボランティアグループとして継続してほしい」「つらかったことを共感できる」「自分の納得できる治療が受けられなかった」
などなどです。

自助グループについて

最後に、自助グループのことについて述べておきましょう。
病院の待合室で自然に生まれる自助グループもあります。仲間と出会うチャンスなど、どこにでもあると思います。後はそのグループをどう育てていくかです。
自助グループでは、ピアカウンセリングの手法を基本におくとよいでしょう。ヒューマンケア協会の資料によれば、①時間を対等にする、②秘密厳守。プライバシーを守る、③否定、批判をしない、④助言、アドバイスをしないなどの約束で話し合う。これはいわゆる「言いっぱなし、聞きっぱなし」のミーティングのルールと符号します。
さまざまな抑圧や依存から自由になりたい、つまり、自立したいと願うなら、ぜひ「ぴあかん」に声をかけてください。そうでなくても、仲間はきっとあなたのそばにいるはずです。