抗コリン薬の離脱・減薬(医師)


こころの元気+」2016年5月号特集4より  →『こころの元気+』とは

抗うつ薬や抗コリン薬の離脱症状と対処方法

医療法人学而会 木村病院
渡邉博幸


抗コリン薬の離脱と減薬

抗コリン薬は、抗精神病薬による運動機能の副作用を改善するため処方される薬です。
抗コリン薬は、認知機能障害や慢性便秘、排尿困難などの原因となり、できるだけ減薬や中止が望ましいです。
しかし、抗コリン薬を急激に中断すると、
吐き気、おう吐、発汗、不眠、インフルエンザのような症状、不安焦燥や精神病の初発症状のような幻覚などが生じることがあります。
消化器症状がない場合、ドパミン過感受性精神病のような、急激な精神病症状の増悪(より悪化すること)との区別がむずかしいこともあります。

抗コリン薬の減量法

2年以上抗コリン薬(アーテンやトレミンなど)を服用している慢性統合失調症者に対して、2週間に1㎎ずつ減量したところ、28人中25人(90%)が症状の増悪なく、減薬を完了できたという報告があります。
我が国では、アーテンやトレミンは1剤2㎎なので、粉薬にしたり、半分に切って服用してもらっています。

一方、アキネトンやタスモリン1㎎は(アーテン2㎎に相当しますので)、減量は半錠(0・5㎎)ずつとなり、慎重に行う場合は粉薬で処方することもあります。

しかし、服用が煩雑になるので、私がよく提案する方法は、1日3回毎食後服用を1日2回朝夕に減らして昼を頓服にし、つらいときは昼も時々使ってもらい、少しずつ昼抜きに慣れてもらいます。
この方法でも比較的スムーズに薬を減らせるようです。

 

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