ピアサポートについて つっちーのショーガイ学習84号連載(専門職)


こころの元気+ 2014年2月号(84号)連載より
つっちーのショーガイ学習 第45回


ピアサポートについて
みんなすごい力の持ち主です の巻

オフィス夢風舎 舎長
土屋 徹


先日、ピアサポートの研修に講師として呼ばれました。
ピアサポートについては、前々から関わりを持っていて、広げるための研修などをしています。
今回も楽しみにしながら参加してきました。

ピアサポート活動をこれからみんなで取り組んでいきたいということだったので、まずは「ピアサポートって何だろう?」という話から、ピアサポート活動をしていくときに大切なことなどをみんなで語り合いました。
すでに、何人かの方はピアサポートについての研修を受けたことがあったので、仲間同士の支え合いをしていくのがピアサポートだという意見も聞かれました。
本当に、みんなが仲間を支え合う仕組みをつくっていきたい、自分たちも仲間と一緒に成長していきたいという熱意が伝わってくる研修でした。

大切なこと3点

さて、ピアサポートをしていくうえで大切なことはなんでしょうか。

そこで話されたのは、
①夢や希望を持っている
②回復してきた過程を、自分なりに感じている
③自分の強みを知っている
などなどだと思います。
他にもいろいろあると思いますが、この研修会では、その3点をみんなで語り、発表し合うことになりました。

まず、①の「夢や希望」ですが、『写真家になりたい』『バンド活動で一発当てる』『犬のトレーナーになりたい』『心理学を学びなおしたい』などなど、それぞれが〝これからしたいな・やりたいな〟ということをたくさんたくさん語ってくれました。
昔から持っていた夢や近頃思ったことなどでしたが、誰一人として『病気を治したい』という人はなく、『病気があってもいろいろやりたいんだよ』という意見が多く聞かれました。

②の「回復過程の話」では、だんだんとよくなっているという感覚も持っているけど、すべてがよくなったということではなく、波があるという方もいました。
その方は、「支援センターに来ているときには、みんなとやり取りしたり楽しいことをしているので病気が遠ざかっていくような気がするし、気にならない。
でも、家に帰ると病気がまたまた自分にやってくる。
そして一晩中病気モードなんだけど、また次の日に支援センターに行くとよくなって…」とのことでした。
同じように言っている方は多く、病気モードの時間が多くなってしまっていたときもあったけど、今は健康モードで動いている時間が多くなったので、病気が遠ざかっていったということでした。

③の「自分の強み」
〝フォークリフトやバイク・車の運転免許を持っている。毎日弁当をつくってくれる人がいる。短歌をアレンジすることができる。知的障害の子どもがいるのでがんばれる。やさしい旦那さんがいる〟
などなど自慢たっぷりの内容でした。
その中でも『自分の病気と病気ではない部分にいつも葛藤している。それができること自体が自分の強みなんだよね』と感動的なことを言ってくれる人もいました。

そうそう、ある女性から「実は夢を持つことができないのです。いつもいつも失敗や挫折ばかりなので、語るのはむずかしいな」と言われたのですが、「夢は実現したら夢でなくっちゃうから、持っているだけでいいんだよ。夢や希望を持つというのは、これからも生きていく・生活していくってことなんだからね」とお返事をしました。
その方は、「かなわぬ夢ではなく、希望を持てる妄想をたくさん広げていきますね」と笑って会場を後にしました。

とにかく、この研修会では参加者の魅力にたくさん触れることができました。
みんなから、「健康モードが広がれば、病気や障害は何とかなるさ」という言葉もありました。
本当に、自分自身が元気に前向きになってしまったという時間でした。