働くということ(本人)


こころの元気+ 2008年12月号特集より


特集1
働くということ


社会とかかわりたい
福岡県 ゆういちさん


私は、うつ病を発症して一〇年目を迎えます。
大学院を卒業後、病気のことは隠して医療法人に勤めましたが、病気が増悪して休職し、復職して再び休職という経過をたどり、最終的には解雇されてしまいました。
その後は、療養をしながら、資格取得に向けての勉強を二年半ぐらいしていました。

最近、再び働きたいと思うようになり、ハローワークに通って就職活動をしています。
私が、なぜ働きたいのかといえば、「社会とかかわりを持ちたい」、「社会に何らかの形で貢献したい」と強く思うようになったからです(もちろん、経済的な理由もあることは否定しません)。
実は、以前に医療法人に就職した理由も、「人のために何か貢献したい」という思いがあったからです。

しかし、その想いは残念ながら、解雇というかたちでいったん途切れてしまいました。
私は自信をなくしてしまい、家に閉じこもりがちになりました。
そして、働きたくても働けない状態がしばらく続いていましたが、最近、症状が安定してきたこともあり、自分の体調をコントロールできる範囲で、もう一度チャレンジしようと思い、就職活動をするようになりました。

実際に就職活動をしてみると、不採用の通知がくるたびに、「私は世の中で必要とされていないのか?」と考えてしまうことがありますが(これは悪い考え方だとわかってはいるものの …)、「どこかに私を必要としてくれるところがある」と信じて、私は活動を続けています。


次は病状に応じた仕事を
東京都 ペコちゃん


私は、統合失調症で二か月入院し、退院後半年経過した頃に、貯金も残り少なくなってきたので就職活動を開始しました。
主治医に相談したら、私の病状からすると、その時点での一日の労働可能時間は三から四時間で、週四日程度と言われてしまいました。
私は看護師の資格を持っているので、派遣会社に何社か登録しました。
すると、看護知識をいかしたデスクワークでフルタイム、三か月更新という仕事を見つけました。
病気のことはクローズでした。
主治医は、私がかたくなに仕事をしようとするので、私の納得のいくように仕事をさせてくれました。

仕事をしてみると、以前なら、まったく支障のないような事務処理もパソコン操作もできないし、集中力はないし、疲れやすいし、周囲の人に圧迫される感じなどがして気分が悪く、トイレで一時間ごとに休憩しながら仕事をしました。
一週間で限界を感じて辞めました。

主治医に話したら、しかることはなく、「よくがんばったね」と言ってもらえて救われました。
それからは、仕事の復帰については主治医としっかり相談すると決めました。
次に仕事に就くときには、病状に応じた仕事内容で就業できるように、オープンにして働きたいと思います。
今は、主治医の診察の他に、ソーシャルワーカーの面談を定期的に行い、就業に向けたアドバイスを受けています。


自分を待っていてくれる職場
石川県 ちえちえさん


うつ病で休職してから一年になる看護師です。
復職できるめどが立たないまま三か月が過ぎたとき、職場に申しわけないので辞めて、新しいスタッフを探したほうがよいのではと院長に申し出たことがありますが、
「大切なスタッフの一員なので別のスタッフを雇うつもりはない、必ず戻ってこられると信じている」
といってくれました。
この言葉に本当に救われました。
自分を待っていてくれる、自分の居場所があると思えるぶん、不安感も少なくなります。

主治医や主人は、家事、育児もあるので仕事は無理にしなくてもよいと言いますが、病気が軽快してくるにつれ、社会から取り残された感じがするのも事実です。

休職から半年後にやっと仕事に出てみようかなと思えるようになり、一回1から2時間ほど、主に患者さんに接しない雑用から始めてみました。
でも体調には波があり、完全復帰までの道のりは、自分が思うよりずっとたいへんです。週に何回も行けることもあれば、一か月行けないこともあります。

事務方の主任は、「うつ病は珍しい病気ではないのだから、協力していくのはあたりまえ」といってくれており、職場の理解はとてもありがたく、恵まれているなと思っています。
当面の目標は、定期的に出勤できるようになること、次に白衣で仕事ができるようになることです。