読者オススメのメンタルヘルス映画(本人)


こころの元気+ 2013年12月号特集より


特集4
読者オススメのメンタルヘルス映画
「こころの元気+」の読者がおすすめの映画です


―100回観ました―
『Shine(シャイン)』

(神奈川県)のりくんのオススメ


私が紹介したい映画は、『Shine(シャイン)』です。
この作品でアカデミー賞主演 実在のピアニスト、デイヴィッド・ヘルフゴットを演じたジェフリー・ラッシュは、男優賞を受賞しています。
小さい頃からきびしく父にピアノを教わったデイヴィッドはピアニストとしてスター街道をかけあがっていきます。しかし、青年デイヴィッドは、留学先のイギリスで精神の病におかされてしまいます。
その後、デイヴィッドは精神病院をひょんなことから抜け出し、徘徊して場末のレストランへ。
ここから私の一番好きなシーンがあるのですが、冗談でなく、そのシーンを巻き戻して見返した回数は100回以上だと思います。
それほどひきつけられる映画です。
全編を通して流れる美しい音楽は、ほとんどが実在のピアニスト、デイヴィッド・ヘルフゴットの演奏です。
まだこの映画を一度も観ていない人、観た人でも、もう一度、とてもオススメの映画です。


若い方にも観てほしい―
ビューティフル・マインド

(愛媛県)TAKさんのオススメ


統合失調症当事者です。
私のオススメは、ラッセル・クロウ主演のこの作品です。
この映画は、統合失調症の患者でありながらノーベル経済学賞を受賞した実在の天才数学者ジョン・ナッシュ教授の生涯を描いた実話です。
愛と勇気、そして統合失調症という重い病気との格闘のはてに栄冠をつかんだナッシュ教授の人生は、精神病の患者であっても世の中でどうどうと生きていけるということを示唆していて、観たとき、涙と大いなる感動につつまれました。
この映画は大ヒットしたので観られた方も多いとは思いますが、
もう年以上前の映画なので、若い方は知らないかもしれません。
ぜひ、観ていただきたいです。
精神病であっても、決して人生を捨てるべきではないことをこの映画は教えてくれます。


―つらいときに観ると―
パッチ・アダムス

(神奈川県)モコさんのオススメ


気分がふさぎこみ、つらいとき何度も観ます。
終わる頃には、涙と笑いの入り混じった感情で胸がいっぱいになり、笑っていられる私がいます。
そして「うん! まだ私にも何かできるかもしれない!」そんなことを思い起こさせてくれます。
実は、以前来日していた実物のドクターパッチ氏に会う機会がありました。
彼のワークショップに参加する機会に恵まれたのです。
「初めて会うのにそんな気持ちがしない。前にも会ったことがあるのでは?」
と思えるほどフレンドリーできさくな方でした。
〝再び人を信じてみたい。ポジティブな気持ちにもさせてくれる。
それでいて私は私という立ち位置も示してくれる。
だってパッチのようにはなれないから。
でも私は私を愛していい。つらい気持ちに寄り添いながら、観ていくうちに楽しむことも覚えていける〟そんなパッチマジックにあふれた映画です。 ぜひご覧ください。


マイク・ミルズのうつの話

(東京都)定塚才恵子さんのオススメ


監督がアメリカ人なので、てっきりアメリカでのうつの話かと思ったら、登場するのは5人の日本人。
マイク・ミルズの日本の友人が薬をのんでいて、そのきっかけが「あなたは心の風邪をひいていませんか」という2000年頃からのアメリカ製薬会社の広告だったことが、この映画制作のきっかけだったようです。
「ハッピーじゃないとダメだという考え方を輸出することで、私たちアメリカ人はビジネスをする」と監督は自嘲をこめてインタビューに答えています。
「薬をのんでいる」「ありのままの生活を撮らせてくれる」の2つの条件で出演者を募集したら数多くの応募があったそうで、ミカ、タケトシ、ケン、カヨコ、ダイスケの暮らしと思いは、「わかる、わかる」「へぇー、そんな自分の助け方もあるんだ」とすーっと心に入ってきます。
それはビョーキの有無にかかわらず、「生きること」の悩みや喜びでもあり、この映画が社会の偏見を取り除く一助になってくれるといいなぁと思いました。


―つかえがとれました―
17歳のカルテ

(東京都)ゆきさんのオススメ


映画の舞台は1960年代アメリカの精神療養施設で、主人公は思春期の女の子です。
主人公の病名は明らかにされていません。
同世代の女の子たちがたくさん入所している閉鎖された施設での日々を描いた作品です.
私は、統合失調症歴9年の39歳の女性で、この映画を発病した後に観ました。
この映画で、私は「気づき」について共感をしました。
私のいう「気づき」とは、ただ単に「病識を持つ」というだけでなく、入院または入所生活の中で、自分が今どういう状態で周囲の人々がどういう人たちなのかを知るということです。
この映画は前半と後半で、主人公の「気づき」によって同じ施設の中の生活や人々への見方ががらりと変わります。
私は入院中、同じ病棟の人にほとんどなじめませんでした。
初めは発病のショック状態で他人と関わる余裕がなかったのですが、病状がおちつくと、まわりになんともいえない違和感を覚えました。
消灯後のお菓子、飲み物持ち寄りのおしゃべり会、外出許可を得てのお買い物ツアー、どれも皆さんとても楽しそうで、私には居心地が悪かったのを覚えています。
その違和感の答えをこの映画で見つけた気がしました。
とてもリアルな施設生活を描いているので、苦しくなるところもありましたが、鑑賞後、喉につかえていたものが、すっとおりた気がしました。
病気が寛解した今、改めて観たところ、その正体が「病気になった自分への甘え」だったのではないかという結論に至りました。
私の主観的な感想なので、製作側の意図と違うかもしれませんが、私と同じ違和感をお持ちの方は、一度鑑賞されることをオススメします。


―他の病気のつらさを痛感―
ツレがうつになりまして。

(北海道)ペン太さんのオススメ


夫がストレスでうつになり、会社を辞め、寝られないつらさ何もできない不甲斐なさに落ちこみます。
そして夫が自殺しようとしたシーンは、私も何度も死にたいと思ったので人ごとに思えませんでした。
私は統合失調症ですが、どんな病気でもつらいし、家族もたいへんだと痛感しました。
もし結婚したら、あんな夫 婦になれたらいいなぁとも思った映画でした。


(神奈川県)大森英雄さんのオススメ
たくさんすすめてくれた中から3本を紹介

心のままに

双極性障害の主人公が「僕は躁状態の中毒なんだ!」と悲痛に告白する場面は実に印象的です。
この映画を発病前に観ていたおかげで、躁もうつもあわせて大切な自分の一部なんだと思い直すことができました。

恋愛小説家

主人公は恋愛小説のベストセラー作家。
実態は強迫性障害に加えて偏屈な性格。
人々との触れ合いがその彼を変えていきます。
「こんな自分が恋なんて」と考えてしまう自分と同じような人に観てほしいです。

メゾン・ド・ヒミコ

ゲイや性同一性障害の人たちを対象にした老人ホームで働くことになった女性と、若いゲイの男性を基軸に展開します。
数十年後の精神障害者を、老後の自分を、悲観的ではなく建設的に考えるキッカケになる作品。


他にもあるオススメのメンタルヘルス映画

ドリーム・チーム

精神病院に入院している4人がプロ野球を見るため夜のニューヨークでてんやわんやに。とっても楽しいコメディーです。

 

まぼろしの市街戦

メンタルヘルス映画の古典的名作。第一次大戦下のフランス。
ある兵士が精神科病院にまぎれこみ…。物語も秀逸なコメディ。

 

ボーイズ・ドント・クライ

女の子として生まれたティーナは自分の体と心の不一致に悩み、「ブランドン」として生きることを選ぶ。街を離れたブランドンは、ラナと出会い恋に落ちるが、二人を待ち受けていたのは…。
当時無名のヒラリー・スワンクが主演し、アカデミー主演女優賞を受賞。