特集3 どのようにうつ病と診断されたのか?(186号)


特集3
どのようにうつ病と診断されたのか?(186号)

※「こころの元気+」2022年8月号より
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うつ病と診断されたことがある方から、診断についての体験談を寄せてもらいました。


体の症状から 
著者:いちさん(千葉県)

37歳、うつ病と軽めの自閉スペクトラム症の男性です。

うつになったきっかけは、中学校でのいじめもありましたが、最初は頻尿でした。
子どもの頃からのかかりつけの医師に対応してもらいましたが改善せず、近くの神経科・心療内科の医師を紹介してもらいました。
そのクリニックで、漢方で頻尿などの体の症状を治療してもらっていましたが、翌年の中3の頃には気分が落ちこむようになり、希死念慮も出るようになりました。

10代後半はそのクリニックで診てもらっていましたが、改善せず悪化して、薬の量が増える一方で、大学に進んだ年には寝てばかりになってしまい、セカンドオピニオンとして県内の国立の専門病院を紹介されました。

そこに検査入院し、過剰投与の薬を少しずつ減らしつつ、臨床心理士さんによる心理検査で当時でいうアスペルガー症候群(現在の自閉スペクトラム症)と判明したのです(そこでIQも130以上と判明したのですが、それはまた別の話になります)。

発達障害の診断を受けてからも、偏見から友人を失ったり、適切な支援を受けられず大学に行けなくなったりと、まだまだ困難は続きました。
適切な診断と治療を受けられても、なかなか困難な人生をおくることになるのです。


あいまい
著者:水樹凛さん(埼玉県)

16歳で最初に病院に行ったときの診断名は不安神経症(全般性不安障害)でした。
当初は全般的に不安感が強く、四六時中パニック発作を起こしてご飯も食べられず夜も眠れずだったので、当初の診断名としては神経症で合っていたと思います。

うつ病に診断名が変わったタイミングは、はっきりせず、いつと特定できません
少なくとも20歳の頃には、神経症のような症状と共に、少し体を動かすだけでもつらいとか、夜眠れないとか、集中困難だとか、神経症のくくりから外れる症状も出ていました。
薬も、20歳頃には安定剤と共に抗うつ薬も処方され、どっちつかずの感じでした。

いつから自分がうつ病になったのかもあやふやで、治療も神経症の治療を受けているのか、うつの治療を受けているのか、いまだにはっきりしないです。
おそらく医者としても、はっきり線引きをするのがむずかしいだろうな、と思います。
はっきり「うつ病です」と断定され、うつの治療だけを受けられるのならばわかりやすいのですが、自分の場合は、あいまいな感じです。


診断書で
著者:上原博史さん(大阪府)

以前のメンタルクリニックで、うつ病と診断されました。
私は診察室で主治医からうつ状態と聞いていました。しかし診断書を見ると、うつ病と書いてありました

うつ病と診断されるまでのプロセスは、精神科医しかわからないのではないでしょうか?
よく「自殺したい」とこぼしていたので、うつ病と診断された可能性はあります。

うつ病と診断され、抗うつ薬(三環系、四環系、SSRI、SNRIなど)を服薬するようになり、気分安定薬も服薬するようになりました。
1日15錠くらい服薬していました。
皮膚に発疹が出たこともあり、びっくりしました。

今の診療所では診断名が、双極性障害Ⅱ型になりました。
たまにNaSSA(※)を服薬することもありますが、基本的に抗うつ薬は処方されなくなり気分安定薬だけになりました。
現在もリチウム800㎎をのんでいます。

精神科医はうつ病、双極性障害Ⅱ型を診断しすぎなのではないでしょうか?
しょせんビジネスだからでしょうか?
正直、精神科医に対して不信感もいだきます。

※NaSSA(ナッサ):ノルアドレナリン作働性・特異的セロトニン作働性抗うつ薬。リフレックス、レメロン2

 

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