うつ病の診断基準


書籍「当事者・家族のための わかりやすいうつ病治療ガイド」第2章 うつ病の診断より

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うつ病の診断基準

表1の「医療者が把握すべき情報のリスト」にあるように、
うつ病の診断は身体疾患などのさまざまな原因の可能性を取り除いたうえで、初めて検討されるものです。

 

なぜこんなに回りくどいのかというと、
たとえば肺炎であれば、
呼吸が苦しく熱があるという症状があるという症状があり、
検査をすると血液データで炎症の値が上がっていて
胸のレントゲン写真で肺炎像が映りますので、診断がシンプルに確定します。

このように客観的にわかる血液データやレントゲンやMRIなどの画像などの指標があれば診断がわかりやすいのですが、うつ病にはまだそれに該当するものが確立していないというのが現状です。
そのため、前述した過程を経て、うつ病の可能性があると考えられた場合、次にDSM―5(米国精神医学会が作成し、日本語に翻訳された診断基準集)のうつ病の診断基準(表2)にあてはまるかどうかを治療者とともに検討してください。

ここで大切なのは、どの症状がいくつみられるのか、ということだけでなく、
同じ2週間の間に、「ほとんど1日中、ほとんど毎日、その症状がみられているか」ということです。

たとえば、
「出社している平日はつらいけど、週末は比較的元気です」
という状態の場合、平日病院に訪れたときはうつ状態かもしれませんが、
「ほとんど毎日うつ状態である」といううつ病の診断基準の1つを満たしていませんので、うつ病とはなりません。

このように、うつ病と診断するにはいくつかのフィルターを通す必要がありますので、このあたりも医療者と共有していただければと思います。

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