ちょっと知りたい! 措置入院の運用に関するガイドライン(173号)


ちょっと知りたい!
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第77回
措置入院の運用に関するガイドライン
(措置入院:そちにゅういん)

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著者:藤井千代
(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 地域・司法精神医療研究部)

精神科病棟への入院は、99%以上が任意入院、医療保護入院、措置入院の3つの入院形態のいずれかに該当します。

最も多いのは任意入院で、本人の意思による入院です。
次に多いのは医療保護入院で、精神保健指定医から見て入院が必要な病状だけれど、本人の了解が得られなかったり、意思が確認できない場合に家族等の同意で入院となるケースです。

措置入院(そちにゅういん)は、精神障害により自分を傷つけたり他人に害をおよぼすおそれ(自傷他害のおそれ)がある場合に、本人や家族の意思にかかわりなく都道府県知事の権限で行われる入院です。

措置入院の運用に関するガイドライン」とは、措置入院になるまでの手続きをくわしく解説したものです。


措置入院となる経緯

措置入院の多くは、警察官からの通報を受けて行われています。

警察官が、精神障害のために自傷他害のおそれがある人を発見した場合、保健所などを通じて都道府県知事に通報しなくてはなりません。
この通報を受け、都道府県の職員が事実関係などを調査します。

その結果、診察の必要があると認められた場合には、精神保健指定医が診察をして、精神障害による自傷他害のおそれがあるかどうかを判断します。
2名以上の精神保健指定医の判断が一致した場合に、措置入院となります。

 

ガイドラインが必要となった背景

措置入院は、本人や家族の同意なしの強制入院ですから、その手続きは厳格に決められていなければなりません。
ですが国の統計を見ると、警察官から通報があったケースが診察を受ける割合や措置入院となる割合が、地域ごとに大きく異なっていたのです。
措置入院は人権に関わる行政措置なのに、これではおかしいですよね。

そこで、ガイドラインを国が定めて警察や行政職員が全国統一の手順で動けるようにする必要がある、ということになり、2018年3月、厚労省から「措置入院の運用に関するガイドライン」が出されました。

 

ガイドラインの効果と課題

ガイドラインが出されてから、警察官や行政職員に対する研修が各自治体で行われ、措置入院の地域差は小さくなってきています

ですが、行政職員や警察官は部署移動がよくあるので、継続的に研修を行って、ガイドラインをしっかり浸透させなくてはなりません。
また、精神保健指定医の診察の質の向上をはかっていくことも非常に重要です。

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