ちょっと知りたい! ピアサポート体制加算


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第76回
ピアサポート体制加算
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著者:相川章子(聖学院大学心理福祉学部教授)

 

ピアサポート体制加算 

ピアサポート体制加算とは、一部の障害福祉サービス事業所(※1)で働くピアサポーターが所定の条件(※2)を満たす場合、事業所に100単位/月が加算されるという制度で2021年4月1日より始まりました。
たとえば、条件を満たす事業所で、ひと月の利用者数が20人とすると、おおむね2万円ほどが事業所収入として加算されます。

※1:加算の対象となった一部の障害福祉サービス事業所
加算の対象となった一部の障害福祉サービス事業所とは、自立生活援助、計画相談支援、障害児相談支援、地域移行支援、地域定着支援の5事業と、加えて就労継続支援B型については、新しく導入された「利用者の就労や生産活動等への参加等」の報酬体系の事業所が加算の対象とされます。(ピアサポート実施加算

※2:所定の条件を満たしたピアサポーター:
所定の条件を満たしたピアサポーターとは、2020年度より厚生労働省が創設した「障害者ピアサポート研修」(実施主体は都道府県および政令指定都市)をピアサポーター、およびその管理者、もしくは同事業所職員が修了することとしています。
ただ2020年度は全国で1か所も実施されなかったこともあり、令和6(2024)年度末までは経過措置として算定要件を緩和し、都道府県、または市町村が上記研修に準ずると認める研修を修了したピアサポーターとしています。
そのほか、常勤換算で0・5人以上の雇用や、職員研修として障害者に対する配慮等に関する研修を年1回以上行うことや、ピアサポーター雇用を公表していることが条件とされています。

制度が設けられた理由

厚労省は
「利用者と同じ目線で相談・援助することで、利用者の自立に向けた意欲の向上や地域生活の不安解消に効果が高い」
と評価していますので、これらの期待を加算という形で表したものといえます。
つまり同様の立場・経験をした者同士のかかわりの価値が評価され、今後に期待されての制度化だと捉えられます。

問題点や課題

1つは、ひとり職場など安易な雇用が増えてしまうのではないかということです。
ピアサポーターの雇用には、専門職主導の支援の限界からリカバリー志向へ変革する必要性を感じ、そのためにピアサポーターの存在と経験、力が必要だという協働の意識が不可欠です。
その意識なく雇用した場合、いわゆる「潰してしまう」ということが起きかねません。

またピアサポーターの価値を金銭的に評価したとすると、あまりに低すぎます。
ただ、金額を上げることで、お金ほしさに雇用する事業所が増えることも心配です。
金額を上げることと同時に、ピアサポーターの固有性と価値を活かした雇用へつながる制度的工夫が、今後期待されるところです。
また制度化によって、地域の既存のピアサポートや協働の実践に影響をおよぼす可能性もあるでしょう。
今後、地域にピアサポーターが増えていくことで、リカバリー志向と当事者との協働意識がつくられていくことを願うばかりです。

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