2020年3月11日
神出病院の医療従事者による、患者への虐待・暴行事件に関する声明
認定特定非営利活動法人
地域精神保健福祉機構(コンボ)
共同代表 宇田川健
認定NPO法人コンボは、神戸市西区の医療法人財団兵庫錦秀会神出病院に入院されているすべての患者さんを早急に他の病院に移し、現在、神出病院に入院されている他の患者さんに同じような行為がなかったのか、全数調査をすることを求めます。
医療法人財団兵庫錦秀会 神出病院(兵庫県神戸市)において、患者さんに対して虐待・暴行を行ったとして、看護師ら6人が2020年3月4日に逮捕されました。人道にもとる、重大な事案であることは明らかであり、現在入院されている患者さんの安全を守るために、すべての患者さんを他の病院に移し、全員に同様のことが行われていないかを調査する必要があります。
報道からしかわかりませんが、以下のことから、神出病院が、危険な場所であることは明らかであると考えます。
・昨年(2019年)12月に県警から虐待があるという連絡を受けるまで、病院幹部は誰もそれを把握していないというコメント。
・6人が逮捕されたのは、県警から連絡を受けた昨年12月から4ヶ月後の今年の3月であったこと。
・1月の末に主管する保健所に病院側から連絡を入れ、2月のヒアリングでも病院幹部は虐待の全容を把握していなかったこと。
精神障碍の当事者は、精神科病院の中では、非常に弱い立場になってしまいます。もともと入院施設のある病院という場は、精神科以外のどんな病院でも、外からの目が入りづらい場所です。その中でも特に精神科病院には外からの目は入りづらい特徴があります。
また、入院中に暴行などが行われたとしても、そのことを誰かに訴えることも当事者には怖くてできません。退院しても、何をされたのか、なるべく早く忘れたい場所です。それは入院してみればわかることです。
私(宇田川)は、精神科病院への入院経験者として、昨年12月まで病院側がこのような虐待を把握していなかったことに大きな疑問を感じます。
逮捕容疑の事件は2018年10月にありました。その後も虐待する様子を収めた複数の動画がスマートフォンから見つかっているそうです。長期にわたって繰り返された虐待や暴力行為をなぜ病院側は把握することができなかったのでしょうか。ましてや、県警から連絡を受けた昨年12月から逮捕者が出た今年3月まで、院長を含め、病院幹部と呼ばれる人たちは、何をしていたのでしょうか。
昨年12月に県警から連絡を受けた時点で速やかにすべてを把握し、加害者を警察に告発する責任が病院幹部にはあったのではないでしょうか。
また、未だに会見は開かれておらず、事務部長が取材に応じているだけのようです。院長自らが先頭に立ち速やかに真摯に謝罪会見を行い、事実関係を公表すべきだったのではないでしょうか。
入院中に主に接する医療従事者は、今回逮捕された看護師や、看護助手が中心です。入院している私達、患者はこれら医療従事者から監視されるとともに、こちらからも観察しているような状態になります。虐待や暴力行為をする医療従事者を患者である私達は、把握しています。そして、どの患者がどんなひどいことをされているのか、私達は見ています。入院患者同士での情報交換は日常的に行われます。
病院幹部と呼ばれる人たちがそれを知らないと言い張るなら、この事件について入院患者からの聞き取りや、患者アンケート(学校のいじめアンケートのように)を実施しているのかと、問いたいと思います。
もし、患者さんに実態も聞かずに4か月にわたって現状を座視してきたとすれば、この病院全体がリスク管理の行き届かない、入院患者にとって安心して医療を受け続けるに値しない、とても危険な場所であることを示しています。
上記のような理由により、神出病院全体の体質として、医療従事者による虐待・暴力が日常化している疑いを私たちは持たざるを得ません。
早急に入院されているすべての患者さんを他の病院に移し、他の患者さんに同じような虐待や暴力行為がなかったのか全数調査する必要があります。
神出病院で行われていたことは、人間の尊厳を踏みにじる人道にもとる行為です。とても悲しい行為です。6人の医療関係者が逮捕されただけで済む問題ではありません。責任ある所管行政による早急な対応が求められる緊急事態です。所管する行政関係者に責任ある早急な対応を求めます。
以上
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