京都放火事件の報道やネットなどの風評でつらい思いをしている皆さまへ


(2019年7月20日)

認定NPO地域精神保健福祉機構・コンボ
共同代表 宇田川 健

 

 私達、精神障害をもっていて、通院している人間としては思うことは、こうした事件の報道が起きるたびに、「まわりの人から危険な人として見られているのではないか」と不安に感じたり、あるいは、自らへの差別意識を強くしてしまう方もたくさんいらっしゃるということです。
それは本当につらいことですし、またやり場のない怒りや、今回の報道では特に、世界中を敵に回したような、恐怖や悲しい思いを感じられる方も多くいらっしゃると思います。私自身もそういう人間のひとりです。

 どうぞ自らの暮らしを大切にしていただければと思います。私達NPO法人コンボでは、リカバリーという考え方にもとづいて、いろいろな発信をしてきました。ただ「精神障害者」という社会からはられたレッテルに影響されないことはとても難しいものです。事件報道が起きるたびに不可能とすらいえます。

 このような事件報道やSNSの風評の影響によって、地域で生活することが、また難しくなるのではないか、精神障害をもっている人への偏見が強くなり、自分自身が攻撃されてしまうのではないかと、恐れ、普通の生活に支障をきたしている方多いのではないでしょうか。

 このような事件報道があるたびに、体や心が固まったようになったり、外に出るのも難しくなってしまう方もいらっしゃるかもしれません。通院すらも難しくなってしまうこともあるかもしれません。公共交通機関を利用するとき、じっと見られてると怖い思いをされる方もいらっしゃるかもしれません。個人的に攻撃をされてしまうのではないかと、恐れ、うちにこもる方もいらっしゃるかもしれません。

 そんなときには、あえて、うちにこもっていいと思っています。なぜなら、何度も挫折しようが、またリカバリーの道を歩むことは可能だからです。

 私達は今は、本当に理解ある人に、つらい思いや怒り、恐怖心を吐き出す場が必要だったり、仲間と話をして、そういう思いを共有することも大切なことではないでしょうか。

 そうしていくうちに、少しでも体や心の固まったような状態が緩んでくると、しなやかな考え方ができるようになります。それには経験からとても時間がかかることだということは、いろいろ経験してきたことから、私達は知っています。

 苦しい、怖い、つらい思いを周りの人と共有できない方のために、その気持ちをお書きいただく場をつくってみました。本来であれば、みなさんのつらい気持ちを閲覧出来るようにしたいところですが、心ない書き込みがあるかもしれませんので、書き込まれた文章は、ある程度まとまった段階でコンボのホームページで見られるようにしたいと思います。
 どうぞ、こちらに書き込んで吐き出してください。

https://forms.gle/qt71je6N8aS7CApLA 

(8月12日でこちらのフォームは閉じさせていただきました。宇田川)
→書き込まれたみなさんのお気持ちはこちらでご覧いただくことができます。
http://www.comhbo.net/?page_id=23086

 私達は時間がかかるかもしれませんが、地域での普通の暮らしを再び取り戻すことは、きっとできると思います。今は個人が無理をして、がんばる時期ではないかもしれません。冷静にしなやかに考えられる時期を待ちませんか。私はそうします。(コンボ 宇田川健)

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