うつ状態からの脱出体験2(本人)


「こころの元気+ 2016年4月号(110号)」より  ※「こころの元気+」とは?

特集6 うつ状態からの脱出体験(その2)
うつ状態からどのように脱出し、回復したのか、体験談を掲載しました。


少しの活動
(三重県)withkさん

以前より改善されてきましたが、やはり今でもうつ状態になることはしばしばあります。
つい最近もありました。ストレスがかかり、何もする気がなくなり、いくら考えてもマイナス思考になってしまい2~3日はこたつと布団とを往復する生活をしていました。

しかし家族と生活をしていることもあって、着替えがなくなってきて、洗濯は私の担当なので、どうしても洗濯しなくてはいけなくなってしまいました。
洗濯機のボタンを押すまではよかったものの、洗濯機が止まったのにもかかわらず、こたつの中でなかなか動けずにいました。
憂うつな気分のまま、何とか重い腰を上げて家の庭に出ました。
するとお日さまがあがっていたこともあって、とても気持ちがよく、洗濯物を干しているうちに、しばらく動かしていなかった固まっていた体がほぐれていき、心も同じようにほぐれていき、気持ちがすっきりしていきました。
すごく何気ない日常生活ですけど、少し動いてみると早く抜け出せるように思います。それとほんの少しの役割があることも抜け出すきっかけに大切かと思います。

謎が解けて
(秋田県)如月さん

十数年強迫性障害で通院しており、うつ状態もあります。
会社に勤めているときに発症し、3年間は通院しながら会社員をしていましたが、結果的に過労で倒れ、退職せざるを得なくなりました。
退職のショックで外を歩くのがイヤになり、ますますうつ状態が悪化していきました。
パートで再就職が決まっても、相手の意図が読み取れず、人間関係がうまくいかなかったり仕事ができなかったりで、辞めるということを数度くり返し、このこともうつ状態を悪化させました。
どうしてうまくいかないのかわからず、何年も苦しみました。

退職して6年経った頃、幼少時から「変わり者」と呼ばれていた過去を主治医にくわしく話したところ、「生まれつきアスペルガー障害をもっていたためだろう」と告げられました。
ショックもありましたが、長年の自分の謎が解けたことですっきりした部分もありました。

今もうつ状態はありますが、今の状態は自分が怠けていたからではなく、アスペルガーのためだったと判明し、以前よりは少し前を向けるようになり、趣味の電子オルガンやボランティアに打ちこめるようになりました。

食事の準備
(長野県)峯村秀一さん

私は禁煙すると必ずうつ状態になり、主治医からは「精神の状態が悪くなるから禁煙しないほうがいい」と言われていたぐらいでした。
それでも禁煙に挑戦してうつ状態になり、6か月の期間を経て、うつ状態から抜け出て禁煙を成功させることができました。

私がうつ状態から抜け出せたきっかけは、母に代って食事の献立、買い出し、用意、片づけをやるようになったことでした。
以前は、親なき後に備えて自分の分だけはやっていましたが、母も年をとってきたので、私が自分から申し出て、家族の分までやるようになりました。
やってみるとかなりたいへんでしたが、食事の用意一つをとってみても、ささやかな感動、たとえばご飯がじょうずに炊けたときの達成感、みそ汁の味見をしてじょうずにできたときの達成感、家族が「おいしい」と言って食べてくれたときの達成感などを感じ、障害者で無職の自分でも誰かの役に立てるといった充実感から生きがいを感じていくことができました。
そしてうつ状態のときの希死念慮はなくなっていました。

うつ状態を抜け出せた現在は、健康にも意識を払うようになり、ものごとを積極的に考えて行動していけるようになりました。