十年前と今


「こころの元気+」2017年3月号への投稿より →「こころの元気+」とは

十年前と今/上原博史さん 大阪府

今から十年前は自分が通っていた小学校で、教科指導の補助員をしていました。現在では働いていた小学校も閉校になり、寂しいです。
当時は父と母、私の三人で暮らしていました。その後、父は胃がんで亡くなりましたが、さほどショックではありませんでした。

メンタルクリニックに通い始めた頃は、うつ症状がひどく、いつも自殺したいと思っていました。
しかし年を重ねるにつれ、だんだん回復してきたように感じます。
すでに四十代になりましたが、今では自殺したくありません。自分でも驚いています。
もしかしたら多少は、リカバリーしたのかもしれません。

毎年がん検診を受けているのですが、昨年(二〇一六年)便潜血検査で異常があったので、初めて内視鏡検査を受けました。心配でしたが幸い異常はなく、一安心しました。やはり死が間近に迫ってくると、自殺したくなくなるのでしょう。

私は発達障害(自閉症スペクトラム障害)なのですが、十年前はまだ診断されていませんでした。クリニックも変わりました。しかし発達障害は、治すことができるわけではありません。仕方がないという諦めと、割り切りもあります。

福祉サービスに関しては、以前から自立支援医療制度を利用していました。しかし障害者手帳はもらっていませんでした。障害年金も申請していませんでした。
年金をもらうようになり、経済的に楽になりました。精神的にも安定してきたようです。いろいろな制度を利用することにより、ずいぶん助かっています。
就労に関しては、就労支援事業所や就業・生活支援センターに見学に行きました。しかし気が乗らないので、障害者雇用枠で働くことは考えていません。現在はテレビや新聞のモニターをやって、小遣い稼ぎをしています。また公募が趣味なので、作品を書いて応募しています。もちろんお金にはならないので、ライフワークなのですが。

私にはささやかな夢があります。それは猫を飼うことです。野良猫を拾ってきて、一緒に暮らしてみたいです。生きがいは読書とショッピングです。コンピューターなどの新しいデジタル機器が好きなので、家電量販店に行き、買い物を楽しんでいます。
今は生きていてよかったと感じています。これからも自分のペースで、リカバリーしていこうと思います。