10年経って気づいた事


「こころの元気+」2017年3月号への投稿より →「こころの元気+」とは

10年経って気づいた事/小池慎一郎さん 愛知県

約10年前、私は派遣先の会社に車で向かっていました。でも気づいたらハンドルをいつもと逆に回していました。向かった先は精神科病院。それが私の闘病の始まりでした。

職場の人間関係が上手くいかず、仕事のレベルにもついていけずに精神が限界でした。
診断結果は「重度の鬱状態」
早急に仕事を辞める事を勧められて両親と話し合い、辞める事になりました。

病院はいくつも変わりました。話を聞いてくれない先生や薬を増やすだけの先生に嫌気がさしていました。 何度も自殺未遂をして一度は救急車で運ばれました。働いていたときによくやっていた「パチンコ」に再度ハマってしまい、パチンコ依存症との闘いも始まりました。

8年前、薬の副作用で体重が100キロを超えた時に、母親の知り合いの紹介で今の主治医と出会いました。他の先生とは違う何かを感じました。全てを受け入れてくれそうなオーラをまとっていました。

まず入院して減薬する事になりました。減薬した副作用で暴れる事も少なくありませんでした。
次第に体調も良くなり、地元の「地域活動支援センター」に3年前から通う様になりました。
最初は通うのが嫌で嫌で仕方なくて、よく先生に反発していました。

しかし、通いだしてしばらくしたら、その場所が自分にとってとても居心地の良い「居場所」になっていました。
そして、自分の事を理解してくれる方達と出会うきっかけにもなりました。 主治医はもちろん、作業所の職員さん、地元の障害者支援センターの相談員さん。人に話す事が出来なかった自分をさらけ出した時、自分の中で何かが変わった気がしました。

体調も良くなり、最近障害者向けの「職業訓練」に通い始めました。2つの講座を受講しましたが、そこで出会った2人の講師の先生にもとても良くしてもらいました。

自分なんか生きてても、周りに迷惑を掛けるだけの存在だと思っていました。 でも出会った多くの人が自分の事を肯定してくれました。自分は生きていてもいいんだと希望を持つことが出来ました。

職業訓練も無事に終わり、ダイエットにも成功しました。ブログを始めて日々自分の振り返りをしています。いよいよ就職活動が始まります。10年前では考えられませんでした。

今でも色々問題を抱えています。いまだにパチンコは止められないし、定期的にくる鬱の波との闘いもあります。もちろん就職出来るのか? 就職後も継続して働けるのか? という不安はあります。
でも昔とは違い、今では多くの支援者の方達がいます。自分が就職するのは自分だけの為ではありません。支えてくれた多くの方への恩返しの気持ちの方が強いです。

10年前の自分と今の自分の一番の違いは「人に感謝する心」を持てた事と「人の為に役立つ仕事がしたい」という気持ちになれた事。恩返しをしながら自分らしく生きて行きたいと強く思っています。