再び人間になりました


「こころの元気+」2017年3月号への投稿より →「こころの元気+」とは

再び人間になりました/ 愛里さん 長野県

今から10年前、私は心身の病を抱えながら販売業に従事していました。月に1回精神病院に通院して、仕事中、体調が悪い中、笑顔で接客しておりました。

当時、仕事の他に点字ボランティアをしていました。長年母が問題飲酒者であり、帰宅後家庭内で辛い思いをした事もありました。祖父の闘病・死がありました。30歳過ぎて非正規雇用で自立出来ていない自分に負い目がありました。

そうしたストレスからでしょうか。
2009年12月末に、うつ悪化のため、とうとう全く起き上がれなくなり、やむなく退職。年明けに初めての入院をしました。
入院し、のんびり療養。初めての作業療法(後にデイケアへ移行・参加)は緊張しましたが、次第に物作りの楽しさや、やりがいを覚え、患者さん達との助け合いの場になりました。
その頃は、傷病手当金の切れる1年半後には就職出来ると思っていました。実際は、入退院を繰り返してしまいました。

2013年8月末の入院時、Dr.・母・私の三者同意のもと、減薬治療をする事となりました。
しかしDr.の独断で断薬。私が離脱症状の辛さを訴えても、Dr.に相手にしてもらえません。Dr.との関係も悪くなり、Dr.から言葉の暴力・治療放棄を受けました。

それから8ヶ月後、主治医を変更しました。信頼関係第一が方針のDr.で、今までの誤った知識を訂正してくれました。
でも治療中、断薬の後遺症と心の傷の深さから、投薬をしても治らない激しい知覚過敏と自律神経症状に疲れ果て苦しい毎日に、本気で死を四六時中考える状態となり、入院。
入院中の病棟ナースさんと患者さんの優しさに救われ、Dr.をはじめ各職種のベテランスタッフさんの手厚いチーム医療のおかげで、私は退院する頃に、一部症状が残存するものの、ようやく人間らしい生活を送れるまで回復しました。
1年4ヶ月ぶりに、再び人間として生まれてきたと言っても過言ではありません。

私が人間となってから5ヶ月後。そのDr.は残念ながら転勤となりました。
私は今のDr.との関係に悩んでいます。しかし、転勤したDr.が残してくれた言葉、医療・福祉スタッフ、友人に支えられながら生きています。
今の私は、まだ病状に波があり、PTSDも残っていますが、母娘関係悪化と共依存治療・自立のため、一人暮らしと社会復帰に向けて準備中です。

人との繋がりを大切に、感謝の心を忘れずに、私はこれからも生き続けます。