抗うつ薬と抗精神病薬の制限など(平成28年度診療報酬改定)


薬に関わる平成28年度診療報酬の改定について
(こころの元気+2016年8月号 「ちょっと知りたい」コーナーより)『こころの元気+』とは


抗精神病薬などの処方適正化? さらにきびしく

平成28年度診療報酬改定で、1日に処方できる向精神薬の数が(平成26年の改定より)さらにきびしく制限されました。
このため、2016年4月以降、抗精神病薬、抗うつ薬、抗不安薬、睡眠導入薬すべてが、それぞれ2種類までしか処方できなくなりました(従来は、抗精神病薬、抗うつ薬は3種類までOK)。
そして、どのグループのいずれかでも3種類以上処方された場合、特別な例外を除いて、通院・在宅精神療法が50%減算になるというペナルティが科せられました。

お薬手帳・かかりつけ薬局などのあり方が変わる

今回の改定で、平成28年4月以降、薬局にお薬手帳を持参すると、料金が12点(医療保険で3割負担の方の場合は36円)安くなる場合があります。
はじめに薬局を利用する場合『薬剤服用歴管理指導料』50点(3割負担で150円)がかかりますが、6か月以内にお薬手帳を同じ薬局に提出すると、上記の値引きがされます。ただ、この値引きを受けられる薬局には一定の条件がありますので、該当するか薬局で尋ねてみてください。
お薬手帳は、利用者本人の基本情報や薬の服用歴、アレルギーや副作用歴を知るうえで、非常に重要な情報が書かれています。そして、利用者と医療者をつなぐ大切なコミュニケーションツールです。
この改定は、かかりつけ薬局を持つことや、お薬手帳の普及がねらいといわれています。

皆様への影響は?

2剤までの処方制限が抗精神病薬、抗うつ薬にも適応されることで、『薬を減らしたい』という希望がある方は、減薬に取り組む大きなチャンスです。
しかし、減薬に不安のある方、薬の変更でつらい経験を持つ方は、とても心配しておられるかと思います。
向精神薬(精神面に作用する薬の総称)は、急激に減らすと、離脱症状や再燃のリスクがあります。
まず自分の処方の歴史を、お薬手帳などを使ってふり返り、医師や薬剤師との相談のもと、卒業する薬を定めて1種類ずつゆっくり減らしていくことが肝心です。
また『具合が少し悪くなったとき、どのような対処をはかるか』を前もって決めておくのも、安心して減薬に取り組めるコツです。

減薬も、お薬手帳の持参も、今回の診療報酬改定は、医療の適正化を利用者と医療者双方の共同作業で行うことが暗に求められているように思います。
お薬をもらってただ服用するだけでなく、利用者の皆様の積極的な処方適正化への参加が期待されているともいえるのです。

著:医療法人学而会 木村病院 渡邉博幸