私流、なりたい自分に近づくためのルール(専門職)


こころの元気+ 2010年1月号特集より


特集5
私流、なりたい自分に近づくためのルール

地域活動支援センターこんぽーる・精神保健福祉士/伊藤砂智子


困っていることを並べない

目標を立てるときに、自分ができないことや困っていることを克服したい、という考え方もあります。でも、私はあまりオススメしません。
できないことや、困っていることを並べ出すとキリがないですし、何をしたいのかが見えてこないのです。では、どうすればよいのか、というと、「なりたい自分」を考えることをオススメします。それを具体化する作業から始めるのです。

目標は具体的にする

「病気を治す」、「一人前になる」というのは、漠然としています。
漠然としたことは、いつまでも漠然としていて、希望はかないません。そのため何も達成した気がせず、自分の変化に気がつくこともできません。
ですから、たとえば、八時までには起きて、センターに週三日通う、というように、目標はできるだけ具体化してほしいのです。

なりたい自分を考える

まず、一年後に、どんな自分になっていたいのかを考えてみます。そのとき、「こうならなくてはいけない」という姿ではなく、自分が心地よくいられて、こうなれたらいいなあ、という程度の姿を具体的にします。
具体的にすると、数か月後に振り返ったときに、自分が変わったことを実感することができます。

小さな目標を決める

「なりたい自分」と「現在の自分」。このギャップを埋めることが、目標に近づくことです。「なりたい自分」にはなれないから無理――ではなく、まずはここから、という小さな一歩の目標を決めます。目標は階段と同じで、突然高い理想には到達しません。
理想のレベルを下げるのではなく、そこに近づくことを具体化していくことが、ギャップを埋める作業です。

三か月後にチェック

目標ができても、高い理想に向かって歩み続ける、という意識で毎日の生活をおくる必要はないと思います。理想は大切ですが、そこに近づくために、ちょっとした変化を積み重ねることが意味あることだと思います。
ですから、目標を考えたら、三か月後ぐらいにどれくらいできるようになったか、チェックするとよいでしょう。

人間は言ったような自分になる

人間はできないことを並べていくと、できないことのイメージが確実になっていきます。自分の悪い部分ばかりを見ていると、そういうパターンにはまっていきます。
こうなれたらいいのになあ、とか、こういう自分が好き!と常に思って生活してみてください。そうすると、そういうパターンに行動が変わっていきますよ。ぜひおためしあれ!

1 目標に近づくポイント

●困っていることを述べない
●1年後になりたい自分を具体的に書き出す(下の2の文参照)
●そのために、この3か月できそうなことを書き出す
●書いた紙を貼っておく
●3か月後にどれだけできるようになっているかチェックするか
●無理な目標は、修正してもよい
●さらに1年後にチェック!

2 具体的な目標のポイント

こうなっていたらいいなあ、というような目標を、1つか2つ程度におさえて考える。
●「外にでられるようになる」よりも、「近くのコンビニで、漫画を買えるようになる」
●「作業所に通えるようになる」よりも、「朝8時に起きて、週に3日通う」
●「いい奥さんになる」よりも、「おいしい料理をつくれる奥さんになる」
――というように、目に浮かぶようにイメージできることが具体的な目標のポイントです。