やむなく断薬(本人)


こころの元気+ 2016年5月号111号 特集2より   →『こころの元気+』とは
私のつらい離脱体験


診察も処方も拒否され
(茨城県)まゆかんさん

統合失調症の女性です。
24歳のとき過量服薬をし、救急で搬送された病院に2週間入院しました。
院長の独断で、拘束されたうえ、いわゆる「薬漬け」にされていました。
もうろうとしながら「退院したい」と言ったら、院長と面接となり、どなりつけられましたが、引かなかったらあっさり退院となりました。
次回診察も減薬のための処方も拒否され、両親のいる自宅へ帰りました。つまり放り出されたわけです。

「何かまぶしいな」というのが最初の症状で、鏡を見ると瞳孔が開いていたのか黒目が異常に大きくなっていました。
半日眠りましたが、次第に眼が冴えてきました。体中がむずむずしていられませんが、身体に力が入りません。
居間にあおむけに転がり、うなっていました。事情を察した薬剤師の母が毛布と湯たんぽを持ってきてくれ、少しずつ常温の麦茶やスポーツ飲料を飲みました。
頭の中は、はげしくイライラするのに、スポンジが詰まったようにスカスカな感じです。
丸1日この状態で、最後には歯ぎしりをして「イーッ」とうなっていました。「麻酔の効いた体の中を、イライラの粒がかけまわっている感じ…」というのが最も近いと思います。

やがて手足に力が入る感じがして、この症状は鎮まっていきました。
この事態は院長も想像していたでしょう。過量服薬をした私もよくないですが、懲罰的意味合いで断薬をさせた院長にも問題はあると思います。


薬疹が出て
(東京都)丸山さん

統合失調症の52歳です。
私が離脱症状を経験したのは、入院中薬疹が出て、やむを得なく薬をのむことをやめるよう医師から言われた頃でした。
薬をまったくのまず、発疹が治まってから、どの薬が原因か一粒ずつ薬を試していく治療法でした。

当然薬をのまないと、ほとんど眠れなくなりました。
一晩に3時間も眠れば、よく寝たほうでした。
すると、日に日に幻聴、妄想がひどくなり、元気なときに聞こえてくる幻聴より、はげしいリアルなものが聞こえてきました。
幻視も、立体的に悪魔がこちらを向いて、にらみ脅してくるようなものでした。そばに看護師がいても確認できない状態でした。

私は、もともと人に気をつかうほうなのですが、病状はどんどん悪くなって、人を殴りそうになってしまいました。そして、任意入院が医療保護入院にまでなってしまいました。
でも今は、それが入院中でよかったと思います。

少しずつ休むことで病状は回復し、薬も少しずつ体が受け入れるようになっていきました。他人との接触を最低限にすることで、自分も休めて元気になっていきました。
薬を急にやめるのは、ほんとうに不安なことです。少しずつ減薬するにしても、医師とよく相談するのがいいと思います。


病院に行けず
(神奈川県)玉藻アキさん

26歳の統合失調症患者です。
私はよく、一人で病院に行けず、薬をもらい損ねて、のむ薬がなくなってしまうことがあります。
そうなると離脱症状が起きて、まず、布団から出られなくなります。
おもな症状としては、
・頭痛、
・吐き気、
・めまい、
・ひどい眠気、
・体の倦怠感など、
あげたらキリがないほどたくさんの症状が出てきて、こんな状態なら死んだほうがマシだ、と思うほどです。
改善策はただ1つで、処方されている薬を早くのむことです。
できるだけこのような事態は避けたいため、病院に通うことを心がけていますが、やっぱりむずかしいです。