統合失調症の人が知っておくべきこと(本人)


こころの元気+ 2013年9月号(79号)連載「ちょっとオススメ」より

統合失調症の人が知っておくべきこと   本についてはコチラ
突然死から自分を守る

コンボ 宇田川健


突然死。
今まで語ってこられなかったことがらです。
この本では、統合失調症をもち、薬をのむ生活をするうえで経験する、予想できない不自然な死について、日本で初めて、エビデンス(数字的な証明)を出して明らかにしました。
そしてそれを防ぐ方法を明らかにしました。

私のように薬をのむ身としては読み進めるのに怖い部分がありました。
私は、薬をのむのを仕事のように思っています。
自動的に何の疑問もなく薬をのんでいます。
それが、ある先進国では、薬をのんでいる統合失調症の患者さんは、一般の人に比べて寿命が短いという調査もあります。

精神科にかかっている人たちとその家族、そして、精神科医療に関わっている人全体に読んでほしい本です。
仲間が死なないため、自分が死なないためです。
この本は私の命に関わっているという実感を持って読みました。
読み始めると、まさに自分に関わってくる本なのです。

一例をあげると、皆さんごぞんじだと思うのですが睡眠薬や、気分安定薬にベンゾジアゼピン系の薬があります(私はそれをのんでいます)。
それと抗精神病薬の併用は死亡リスク増加と関係するという研究があります。
統合失調症の人が、エコノミークラス症候群※で血栓が肺にとんで亡くなるのは、精神病院で拘束されて点滴しっぱなしにするからだとばかり思っていましたが、拘束だけでなく抗精神病薬による医療 自体が肺血栓塞栓症のリスク増加に関係があるかもしれないといわれています。
しかし、だからといって薬をやめることは自爆です。
私はそれで自爆しました。
絶対に医師と相談なく減薬や断薬しないでください。人生を棒に振ります。という私からのメッセージもあります。

一番サボってはいけないのは、医師との対話と体のモニタリング。
つまり、しっかりと医師に自分の意見を伝え、自分自身で健康診断を受けに行くことです。
医療者と私たち当事者は対話を通してお互いが納得して、自分が薬をのむ決断をします。
生きる責任を持って精神科医療にかかるために、どうすればよいかが載っている本です。
ゆっくりと最後まで、でも一気に読んでほしい本だと思いました。

※肺血栓塞栓症:足の血管などに血のかたまり(血栓)ができ、それが肺の動脈などで詰まる病気。
飛行機の狭い座席に長時間座っていて起こる場合が多いためエコノミークラス症候群とよばれていた。