特集3 WRAPから学ぶ


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著者:ひろってぃ(佐賀県)

WRAP(ラップ)とは

WRAP(元気回復行動プラン)は、元気であるために大切な5つのこと、リカバリートピックと共に、米国のメアリー・E・コープランドさんを中心に作られ、日本各地でもさまざまな活動が行われています(例→WRAPプロジェクトZ)。
またWRAPには、元気に役立つ道具箱、6つのプランとその対応プラン(※)があり、そのときの元気に役立つものや日々の生活をしていくうえで大切にしたいこと、調子が悪くなるのはどのようなときなど、今の自分を知るうえでとても役に立つものだと私は思っています。

※WRAP(ラップ)の6つのプラン
・日常生活管理プラン
・引き金とそれに対応する行動プラン
・注意サインとそれに対応する行動プラン
・調子が悪くなってきているときのサインとそれに対応する行動プラン
・クライシス(緊急状況)への対応プラン
・クライシス後のプラン

そのようなことから、WRAPは「自分のトリセツ」と呼ばれることもあります。
ただ、人は時間と共に気持ちや思い、身体の状態など常に変化しますので、WRAPで作った内容もその時々で変わるため、こまめに更新していくことが大切だと考えています。
最近の私は、WRAPのプランが日常生活の自分自身の行動に溶けこんでいて、調子が悪くなりそうなときや注意サインがあらわれたときには、自然と何らかの元気に役立つ道具を用いて、その対応プランを実行していることが多かったりします。

私自身の話

WRAPを知って、私自身や人間関係にどのような変化があったかを話したいと思います。
私は学生時代、人と会話することがとても苦手で、友人も片方の手の指で数えられるほどしかいませんでした。
なぜかというと、
「どういう話をすれば、この人と仲よくしてもらえるのだろうか」
という強い恐れのような思いを常に持ちつつ会話をしていたことがあり、自身の本音を自ら話さなかったのです。

社会人になってもこの傾向は変わらず続き、場の中で会話ができる人がいなくなると、
「どうせ自分はダメなんだ」
と自分を追いこむようになりました。
そして人間関係がきっかけで精神的な病にかかり、入院しました。

恐れを見つめて

退院後、私は通院先の病院でWRAPを知りました。
WRAPを作る過程やクラスに参加していく中で、いろいろな方向からこれまでの自分にふれるので、そのおかげもあって
「自分の中には確実に恐れがあるな」
と思うようになりました。
その恐れはとても怖くて見つめたくないほど醜いけれど、
「本当は私がずっと大切にしていたもの」でした。

私がそれを知ったとき、心がギュッと締めつけられるような切ない感じと、何かあたたかいものに包まれていくような感じがして、ずっと涙が止まりませんでした。
私は泣きながらもその恐れを思うままに文章にしていき、
「こういう思いがあったんだ」と自分で自分のことを理解できる感覚も覚えました。

そこで書いたものは、通院先の病院の主治医や作業療法士さんに読んでもらったり、地域活動支援センターでできた友人に読んでもらったりしました。
私が書いたものを手渡すときは、自分にとって気持ちをくみとってもらえるような『癒しのひととき』でもあり、このような活動を続けていくことで徐々に人間関係に対しても恐れが減り、さまざまな人とも本音を伝え合うことができるようになりました。

このように、思いを文章にすることが、私にとっての元気に役立つ道具です。
私がWRAPから得たものが、何らかのお役に立てれば幸いです。

☆WRAP関連の本
元気回復行動プランWRAP

WRAPⓇのリカバリーストーリー ~それぞれの物語~

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