ちょっと知りたい!
第43回
日常生活自立支援事業
浅香山病院 デイケア室 市川智美・黄瀬忠博
皆さんは日々の暮らしの中で困ったこと(ヘルパーなど福祉サービスの利用の仕方がわからない、通帳などの重要な物の管理が不安)やお金の使い方(月々の生活費や家賃などの支払い)に不安はないでしょうか?
日常生活自立支援事業は、こうした暮らしの不安や疑問が生じたとき、判断に迷ったときにサポートをしてくれる事業です。
利用対象者は精神障害や知的障害のある方で、福祉サービスの利用手続きがわからない、お金の管理が一人では不安な方とされています。
「あなたの暮らしの〝安心〟をお手伝いする」ことがこの事業の目的です。ご本人だけでなく、ご家族も相談することができます。
具体的な例
たとえば、初めて一人暮らしをすることになったAさん。
毎月のお金のやりくりがうまくいかず、デイケアのスタッフと社会福祉協議会に相談に行きました。
窓口で困っていることや希望を聞いてもらい、支援内容を話し合ったうえで利用契約を結び金銭管理をサポートしてもらうことにしました。
今は2週間に一度、生活支援員さんと相談して、お金の出し入れを手伝ってもらい、何とかやりくりできるようになりました。
他には、日々の生活費や親から相続したお金を計画的に使うため、もしくは他人から無心されてしまう(お金をねだられる)場合に、自身の生活を守るためこの事業を利用している方がいます。
実際に利用している方からは、
「お金を計画的に貯められて、洗濯機を買えた。次はラジオを買うつもりである」
「この事業を利用するまでは生活費を3日で使い切ってしまっていたが、使い過ぎを防ぐブレーキになっている」
「きっちりと管理してくれている安心感がある」
等の声があります。
ただ、人によっては2週間分をじょうずにやりくりすることがむずかしい場合もあり、この事業とあわせて、普段から利用している機関など(地域活動支援センターやデイケア、ヘルパーなど)のサポートを受けている方も多くいます。
※くわしくは、お住いの社会福祉協議会に問い合わせをするか、全国社会福祉協議会のホームページをごらんください。
パンフレットが紹介されており、わかりやすく説明されています。
相談は無料ですが、サービス(金銭管理や通帳などの預かりなど)の利用には料金がかかります(生活保護を受けている方は助成があります)。
※日常生活自立支援事業は、平成 19 年 4 月に地域福祉権利擁護事業の名称を変更したものです。