特集4 事前の備えについて(体験談)


━━━━━━━━━━━━━
東日本大震災の体験から3つ(長野県)のら猫さん
━━━━━━━━━━━━━

東日本大震災などの体験から3つあげます。
1.薬はロックできるフタつき容器に保管する
フタのない容器に並べていたら、容器も薬局の袋もひっくり返って散らかり、拾い集めるのがたいへんでした。
今は、ホームセンターなどの工具売場にある小物用の容器に保管しています(写真 PDFへ)。

2.雑用水
飲料水は3、4日踏ん張れば応援が来てくれます。
困ったのはトイレの水です。自分は二槽式洗濯機一杯はありましたが、一人暮らしでも不足しました。
飲用不可でも井戸がある家の情報は役立ちます。

3.災害の知識
ラジオが誤報を流してしまい、訂正するのも聞きました。
ネットには、8年経った今も根拠がないデマが平気で流れています。
すべてを判断するのは無理ですが「これはあり得ない」程度は見抜けないと困ります。
昔話ですが、昭和40年の長野県松代群発地震の際、
「何がほしいか? 金か? 飯か?」といばる某視察団に、中村兼治郎松代町町長は、
「私達には何よりも学問がほしい」と切り返しました。
正しい知識がないと、正しい判断も備えもできません。
地元にどんな危険性があるのか、学ぶこと(※)は重要だと思います。
※地震や洪水・土砂災害など、地元の危険性を知るのにはハザードマップが」役立ちます(→17頁)。

━━━━━━━━━━━━━
お薬手帳と薬  (広島県)さくさん
━━━━━━━━━━━━━
豪雨災害を経験しました。
主要な道路や山道が分断され、片道30分かかっていた主治医の病院まで行けなくなり、固定電話も一時的につながりませんでした。
そこで、復旧するまでの間、近所のセカンドオピニオンの先生に一時的に切り替えて、通院をしました。
役に立ったのは、お薬手帳でした。本来なら自立支援などの公費負担はあるのかもしれませんが、災害時であり、そこまで考えている余裕はありませんでした。
災害時の持ち物ですが、
「お薬手帳、薬(約2週間分)」は、最低限、防水性の袋に入れておいたほうがよいと思います。防水性の袋というのは、いつ水に濡れるかわからないからです。
お薬手帳は、セカンドオピニオンの医者が同じ薬を処方してくれるための資料であり、約2週間分の薬は、処方してくれる医者が見つかるまでのつなぎだと思えばよいです。
災害により状況は変わりますが、とりあえず同じ薬があれば、一安心かとは思います。

━━━━━━━━━━━━━
共助 (石川県)清水康彦さん
━━━━━━━━━━━━━
統合失調症感情障害です。私の住む金沢市では、昨年災害の備えについての市民フォーラムが開かれ、地域ぐるみでの防災、減災を考える機会となりました。
まず、地域の集まり(町会など)に顔を出しましょうという話でした。私はこの段階ですでに問題に直面しました。
災害時には、自助・共助・公助(※)のバランスが大切になり(一般では6対3対1)、障がいのある方は、3対6対1になるというのです。近所づきあいが重要ということです。
私は、今仕事をしていないことなどが原因で集まりに顔を出しづらい現状があります。
また、高齢者や障がいのある方の要支援者リストを作っている地域もありますが、担当者に伺ったら、精神障がいは対象に入っていないのです。
これらから「私はここにいるよ」と地域にも知ってもらうカミングアウトの必要性を認識。勇気がいりますが、近所のおまわりさんにも知ってもらい、集まりにも顔を出すことが、遠回りのようで何より大事な防災意識であり、行動になると気づきました。

※自助・共助・公助:自分を自分で守る(自助)、地域で助け合う(共助)、国や自治体の援助(公助)。

━━━━━━━━━━━━━
伝えたい教訓…大災害に遭うと (岩手県)藤枝脩平さん
━━━━━━━━━━━━━
2011年3月11日、私は自宅で東日本大震災を経験しました。
自宅は岩手県北上市です。内陸部だったので、幸いにも大津波の被害には遭いませんでした。
携帯電話から地震警報が鳴って、すぐに大きな揺れが来ました。地震の被害については、皆さんもごぞんじのとおりです。

――言っていられなくなる――

地震の翌日、ホームセンターには長蛇の列ができていました。
ガソリンスタンドに続く道にもずらりと車が並んでいました。北上市でこんな行列を見たことは、前にも後にもありません。
もはや日常ではありませんでした。
私は中学校の歴史の授業でオイルショック(1973年と79年)を学びましたが、おそらくオイルショックが再現されたのだと思いました。
非常事態、命の危機になると精神病なんて言っていられなくなりました。
震災の2日後に精神科の診察でした。
しかし、病院には仮設トイレがあった他はそれまでどおりでした。
薬局でもいつもどおりに薬を処方されました。

――私が伝えたい教訓――

・大災害に遭遇すると、一時的に精神病があさっての方向に飛んでいく
・大災害に遭遇すると、命を守ることだけしか考えなくなる
・少しずつ社会はもとに戻る。
・大災害に遭遇すると、みんな考えることが同じになる
・ほしいときに、ほしいものは手に入らない
・最低限の備蓄は必要だけれど、大切なことは、ライフライン(電気・ガス・水道など生活のもととなる設備)がすべて止まった状態をしのぐ術を身につけておくこと(※)

オススメ日常備蓄
普段の日常で自分が使っている物を、いつも少し多めに備えておくことを「日常備蓄」といいます。
たとえば、普段食べ慣れていない物より、食べ慣れた物を買っておき、賞味期限をみながら順に食べて補充しておくなど、負担にならないことから始めてみてください。

※Yahoo! JAPANの「防災手帳」のサイトには、防災に役立つ多くの情報がまとめられています。
→  https://c-emg.yahoo.co.jp/notebook/