年末年始どう過ごしたら?(Q&A)


「こころの元気+」2010年12月号(46号)より
※くわしくは →『こころの元気+』とは? 


Q 年末年始の過ごし方がわかりません(本人)

 私は45歳の女性です。両親はすでになく、一人で暮らしています。
子どもの頃から人一倍さびしがりやで、大人になっても何か常にものすごく孤独感を感じてしまいます。

 孤独感が大きくなると、不安な気持ちがふくらみ、症状も悪化して寝込んでしまったりします。
 私が一番つらいのは、他の人や社会から見放されているような気持ちになってしまうときです。
特に、4月の春先や、お盆、クリスマスシーズンやお正月の時期などは、そうした孤独感が大きくなります。

 他の人はとっても楽しそうだし、友人や家族と楽しそうに過ごしているのに、私は何もすることがない。
たいした趣味があるわけでもないし、一人でテレビを観ていても、時間だけが過ぎていくだけで、孤独な気持ちは変わりません。
 病院のワーカーさんからは「デイケアに参加しませんか」と誘われましたが、興味をもてません。
さびしい気持ちがあるのに、誰かと新しい人間関係をつくることへの恐怖感があるのです。

 特に年末年始は、病院も休みになるので、通院することもなく、人と話す機会もなくなってしまいます。
 この時期にさびしい思いをしている人はたくさんいると思いますが、他の人はどんなふうにこの時期を過ごしているのでしょうか。
教えてください。


A 何もしなくてもいいじゃないですか/のら猫さん(茨城県)

 自分もさびしがりやで、ちょうど45歳、うつ病発症から半年ほどの者です。
近所に、親類も知人もない一人暮らしをしています。
 一人暮らしを始めてからもう10数年になりますが、ご質問者の方同様に正月やお盆、その他世間が何かとにぎわう時期のむなしさというのはよくわかります。
 特に一人暮らしを始めて間もない頃は、スーパーなどへ買い物に出かけて、売り場を見ると何かものすごく盛り上がっていたりして、自分だけが取り残されたような気がしたものです。

 でも、ある日、ふと思いました。「何も、まわりと同じことをしなくたっていいじゃないの」と …。
 自分の場合は、これに気がついた時点で、何かが吹っ切れたような感じがして、それ以降取り残されたような感覚はしなくなりました。
極端な表現をすれば、悟りが開けたようなものでしょうか。

 あとテレビは、さびしさがまぎれるような気がするかもしれませんが、世間の浮かれている空気にさらされますから逆効果だと思います。
自分は10年ぐらい前に、テレビが壊れたのを機会に一切見ることをやめました。 
まあ当時、デジタル化で、そのうちに見られなくなると知っていたから、修理代や買い替えの出費を避けたというのもありますけどね。
 何も世間に合わせることはありません、自分は自分ですから、世間がおとなしいときでも、体調がよければそのときに一人で盛り上がってもいいじゃないですか。


A 人と関わりたいというメッセージ/Fさん(広島県)

 私は、自律神経失調症の診断を受けて7年になります。
年末年始は、確かにさびしくなりますね。私は、人は他人との関わりをなくすと、さびしさで不安になるのだと思っています。
 他人との関わりを他のもので置き換えてみても、満足を得られないでしょう。おっしゃる通り、問題は人間関係をつくることへの恐怖感だと思います。
 私の場合は、私と似た悩みを抱えた人となら、人間関係をつくりやすいと思っています。本音を話しても大丈夫という安心感からです。そのような人たちに対しても、自ら進んで人間関係をつくることに腰が引けます。
 ただし、人から誘われると、少し勇気を出せば入っていけます。今は、それでよいと思っています。これを続けていくうちに、徐々に閉じた心が開いていくのではないかと期待しています。その暁には、自ら人間関係をつくることもできるかもしれません。
 病院のワーカーさんから誘いがあるとのことですね。おそらく、人と関わりたいというメッセージをすでに発しているのではないでしょうか。
 どんな人となら関われそうか、そして、その人たちを誘えなければ、誘われれば参加するというメッセージを送ってみたらいかがでしょうか。
 このQ&Aへの応募もその一つのように感じます。必ずそれを感じとる人がいると思います。信頼して話せる人がいると思えるだけで、さびしさが減るように思います。
 また、相手が目の前にいることにこだわる必要はないと思います。電話でもメールでもインターネットでも何でもいいと思います。


A 「年末年始」も「いつもの日」だと考えてみる/榎田伸也さん(奈良県)

 私も「人依存症(?)」というほど、相当さみしがりやなの
で、あなたのお気持ち、わかる気がします。
人に会えないのは、とってもさみしいですよね。

 かつて、「年末年始」といったら、家族だんらん、こたつにみかん、紅白、初もうで …、おまけにお店はどこもお休みで、おうちでゆっくり過ごしましょう、という雰囲気でしたよね。
 しかし、今はどうでしょう。
スーパーマーケットはもう元日から開いているし、おせち料理を食べずにファストフードを食べるもよし、福袋はあらかじめ選んでから買う、というのが現実ですよね。
わが家も、親子といえども、お互いいい大人なので初もうでも家族バラバラです。だからといって、それが悪いわけでもない、とも感じています。

 今、日本人にとっての「年末年始像」が、崩れつつあるような気がします。
ですから、「年末年始以だから、せめて人並みに過ごさねば」という意気込みそのものが、もういらないものになっているように思えます。
12月31日も、1月1日も、すべて「いつもの日」、「日常」の一部だととらえたら、ぐっと気持ちが軽くなるのかもしれません。
 私も、今年からそれと同じような心持ちで過ごそうかな、とも考えています。


A 地活センターやスーパーへ/りんごさん(東京都)

 私は統合失調症で一人暮らしの看護師で、ペットと暮らしています。
現在、仕事はしておらず療養中です。
 両親は離婚、母は姉夫婦の家に住んでおり、ほとんど疎遠です。
 仕事や習い事をしていれば、職場の人や習い事のお友達と話せるのですが、今は仕事はせず、習い事もしていないし、長い間親しくしてくれていた友達が結婚して、メールをしてもすぐ返事がこないので、とてもさびしいです。
 主治医に不調を訴えると「さびしい病いです」といわれ、散歩や地域活動支援センターに行くことをすすめられます。
 不安感の薬は、定時と頓服でのんでいます。地域活動支援センターは週1、2回行っています。行くのがおっくうなときは、電話をしてスタッフに話し相手になってもらっています。
 私はデイケアには参加したことはないのですが、近くに地域活動支援センターはありませんか? 
病院のワーカーさんはご存知だと思いますが …。

 私の行っている地域活動支援センターは、電話やメールでも相談を受け付けています。
そういう施設を利用されてもよいかと思います。

 私も、年末年始などはさびしいです。元旦は、ほとんどのお店が閉まっていて、行き先がないので、24時間営業、年中無休のスーパーに行っています。
 コンビニは狭いから店員さんの目が気になりますが、スーパーは広いので気が楽です。


A ある意味、覚悟を決めて/上原博史さん(大阪府)

 非常におつらいですね。
孤独感を感じるのも無理はないと思います。
心の状態が、いわゆる「ヤマアラシのジレンマ」の状態にあるのだと思います。
つまり、傷つくのは怖い、でもずっと一人でいるのはさびしい。
人間関係は適度な距離をとることが必要で、確かにむずかしいですね。
 私も、あまり人間関係を築くのが得意なほうではありません。
でもお正月やお盆の時期には、まだ両親が健在なので親戚や、家族と過ごしたりします。

 無理に人間関係を広げなくてもいいと思います。
人間は一人で生まれてきて、一人きりで死ぬものです。
孤独といえば、みんな孤独です。でもだからこそ人は、人とふれ合おうとするのでしょう。

 自分が必要と思えないなら、無理に人間関係をつくらなくてもいいと思います。
たまたま人生でそういう時期なのかもしれません。
孤独を貫くか、みんなと同じように群れるか、覚悟を決めることも大事だと考えています。

 他の人が楽しそうに見えるのは、人を楽しませようと努力をしているからかもしれません。
自分も人間関係で楽しみたいのなら、勇気や思いやりが必要だと思います。
 冷たいかもしれませんが、待っているだけでは何も変わりません。
「過去と他人は変えられない。変えられるのは自分と未来だけ」という言葉もあります。
おつらいとは思いますが、人生を大切に歩んでいってほしいと願っております。