厚労省に要望書を提出 ~抗精神病薬ゼプリオンの問題点について


抗精神病薬ゼプリオンの問題点について
厚労省に要望書を提出
(2016年6月21日)

認定NPO法人地域精神保健福祉機構(コンボ)は、本日2016621日に、抗精神病薬ゼプリオンの利用者のうち、85が死亡している問題(独立行政法人医薬品医療機器総合機構へ報告された自発報告に基づくものなので因果関係は不明)について、要望書を厚生労働省に提出しました。

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〈要望書提出の背景〉

ゼプリオンは、2013年11月に発売された持続性の抗精神病薬です。1回注射をうつと、その効果がおよそ1か月持続するというものです。

この薬は、発売から4か月半たった2014年4月時点で、死亡者数が17人になっていることがわかり、厚生労働省の指示によって、2014年4月17日に安全性速報が発出されました。
そのため、厚生労働省ならびに発売元のヤンセンファーマ株式会社のみならず、使用する精神科医たちには、特に適正な使われ方が求められている薬といわれています。

コンボでは、死亡者数が増えていないか、定期的にチェックをしていました。 これは、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(通称:PMDA)のホームページ上で公開されている副作用の報告書をチェックすることで、死亡者数がわかるものです(→「副作用が疑われる症例報告に関する情報」より )。

このチェックで、2016年5月31日時点で、死亡者数が83人、6月中旬頃には、死亡者が85人になっていることがわかりました。  そこで、コンボでは、2016年6月21日に、これ以上、死亡者が増えないように、以下要望書を厚生労働省の安全対策課に提出しました。

 → 厚生労働省への要望書

〈要望書のもととなるデータ〉

◆ 4剤死亡累積比較
ゼプリオン、リスパダールコンスタ(ゼプリオンと類似の成分の注射)、インヴェガ(同一成分で経口製剤(口からのむ薬))、エビリファイ(注射)の4種類の薬による死亡者数を発売時期から足しあわせて比較した折れ線グラフ

◆ 薬剤別月別死亡者数
ゼプリオン、リスパーダールコンスタ、インヴェガ、エビリファイ(注射)の4種類の薬による発売時期からの月別死亡者数の表

◆ 4剤の発売日から同期間の死亡者数比較
ゼプリオン、リスパーダールコンスタ、インヴェガ、エビリファイ(注射)の4種類の薬による発売時期からの月別死亡者数の棒グラフによる比較(参考資料:ゼプリオンの月別死亡者数とそれにともなう情勢)

〈その他〉

 ☆離脱・断薬などについての色々な情報は→ 減薬・断薬・離脱(ネット特集)

薬の量についての色々な情報は→薬の量の話(ネット特集)

☆急な減薬や断薬は離脱症状を引き起こす場合があります。
「こころの元気+」では、急な減薬や断薬による離脱症状の仕組み、対処など、体験談を交えて特集しました。→2016年5月号「知っておきたい離脱症状」

☆そもそも抗精神病薬とは(メカニズムや副作用など)→抗精神病薬

〈要望書提出についての報道〉
要望書提出後、記者会見を行いました。以下、各メディアで報道・掲載された記事の一部です。(一定時間経過後、リンク切れとなる場合があります。)

〇共同通信
http://www.47news.jp/news/2016/06/post_20160621173401.html
(2016/06/21 17:32)
※この後、各地方紙でも掲載されました。

〇産経新聞
http://www.sankei.com/life/news/160621/lif1606210022-n1.html
(2016/06/21 18:04)

〇日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG21HBE_R20C16A6CR8000/
(2016/06/21 20:55)

〇朝日新聞デジタル
http://www.asahi.com/articles/ASJ6P51R9J6PULBJ00P.html
(2016/06/21 21:17)

〇テレビ朝日(テレ朝news)
http://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000077524.html
(2016/06/22 03:05)

〇FNNニュース(フジテレビ) ※映像あり
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00328342.html
(2016/06/22 07:39)

〇毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20160623/dde/041/040/071000c
(2016/06/23)

〇読売新聞 Online (ヨミドクター) ※「新・医療ルネッサンス」関連記事の2頁目
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20160630-OYTET50016/2/
(2016/06/30)

〇ほか、福祉新聞、しんぶん赤旗、など。

各社とも、コンボが今回お願いしていることについて、また、その背景について、報道しています。多くの方々に関心を持っていただき、また、調査を進めていただければと願っています。

そのような中、週刊現代の記者の方からも電話があり、スタッフ(丹羽)が対応しました。電話のなかで「記事にする」という言葉はなく、また出版の事前連絡や掲載の許諾はありませんでした。実際に掲載された記事(7/9号:6月27日発売)をみて、対応したスタッフ含め、一様に驚いています。言ってもいないことや、コンボの活動理念と相反することが、丹羽・島田およびコンボの理事渡邉のコメントとして掲載されています。この記事に対するコンボのスタンスを、明確にしておきます。
→ 週刊現代の記事に対するコンボのスタンス  (2016/6/28掲載)

この件につきまして、2016年7月5日づけで、講談社および週刊現代に、抗議文書を送付しました。
→ 講談社の「週刊現代」に抗議文書を送付 (2016/7/5掲載)
→ その後の「週刊現代」への抗議とその経緯 (2016/9/28掲載)