病気になる前よりも元気になるコツ(本人)


こころの元気+ 2010年1月号特集より


特集3

病気になる前よりも元気になるコツ

三重県/川北誠


かつての自分にもどらなくていい

僕は病気になって一四年です。当初は絶望していましたが、今では、病気になる前よりも、楽しみをいっぱい見つけて、元気に過ごしています。ありのままの自分を受け入れることができて、病気とうまくつきあえるようになりました。
でも、現に苦しんでいる人にとっては、病気とつきあうという気持ちにはなれないかもしれません。では、どうしたら病気とうまくつきあえるのでしょうか。

それは、「病気になる前の状態に戻ることをめざさない」ことだと思います。「こころの元気+」創刊号で、「かつての自分は、がんばり過ぎて発病したのかもしれない。かつての自分にもどろうとする努力は、再発を目標にすることで、ナンセンス」という文章を読んだときは、目からウロコでした。
かつての自分に戻らなくていい、生まれ変わるチャンスと思えると、病気を受け入れることができるかもしれませんね。
僕も、保健所デイケアで、温かい仲間と出会い、新しい自分を発見することができました。順調な人生では見えなかったものが、今は見えていると思います。発病前の自分よりも、今の自分の方が好きです。

小さな目標から

でも、生まれ変わるといっても、なかなかむずかしいことです。一足飛びには変わらないと思います。
僕が保健所デイケアに通い始めたのが、二八歳のときでした。その頃は、「三〇歳までには、社会復帰を!」と強く望んでいました。
でも、これは大きすぎた目標でした。今、三九歳になって、働いていますが、正規社員ではありません。でも、あせることなく、自分のペースを守っています。
いきなり仕事に行っても、長続きしませんでした。そこで、母のすすめで、老人ホームでのボランティアを始めました。ボランティアだから、適当でいいとは思いませんが、プレッシャーが少なく、「生活のリズムをつくる」ことを目標にしました。
次は、郵便局で短時間、短期間のアルバイトをしました。自分でお金を稼ぐ喜びを得ました。すると、毎日で短時間のスーパーでの仕事が舞い込んできました。
やがて、支援センターの紹介で、障害者向けのパソコン講師を始めて、今では仕事をかけ持ちでしています。責任感が芽生え、社会参加する喜び、信頼される喜びを感じています。
小さな目標から始めると、達成感が得られると思います。階段を一歩一歩上っていくイメージでしょうか。階段なら、疲れたらその場で休むことができるし、時には一歩下がることもできます。
急な坂道を一気に駆け上がろうとすると、つまずいたときにころころと転げ落ちてしまいそうですよね。

新たな役割を見つける

デイケアは、人間関係を学ぶ機会にもなりました。僕は初めて就職した会社で、人間関係にとても悩んだので、デイケアでは「人に慣れる」ことを目標にしました。最初は、目立たない、おとなしい存在だったと思います。いろいろな年代の人がいて、いい経験をしました。
やがて、仲間の相談を受けたり、リーダー的な役割をしたりして、充実感が得られるようになりました。ボランティアの方のアドバイスで、仲間とともに当事者会を立ち上げました。最近、体験発表をする機会もありました。このような活動で、充実感が得られ、病気になる前よりも、元気に楽しく過ごしています。
小さな目標が、デイケアに通い始めた頃は思いもしなかった、人生の張りへとつながりました。

感謝の気持ちをもって

僕は当初、病気になったことを恨んだこともあります。でも、病気を恨んだり、誰かのせいにしたりしても、何も解決しませんでした。それよりも、温かい人たちとのつながりを大切にして、感謝することで、変わることができました。
これからも、いろいろな波風は立つことと思いますが、マイペースで楽しんでいきたいです。皆さんも、一度きりの人生、楽しんでみませんか!