特集2
13年前と何が変わり何が変わらないのか?(236号)
○「こころの元気+」2026年10月号より
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筆者:夏苅郁子(やきつべの径診療所)
▼はじめに
今月号の特集の主旨は、
「名医探しではなく、自分にとって安心できる医療との関係は何か」です。
担当医が「自分にとって安心できる」存在であることは、患者さんの切実な希望ですが、むずかしい面があります。
どういった関係性が「安心できるのか」は個々の患者さんによって違うからです。
「病気についてくわしく聞きたい」人がいる一方で、「あまり長く話したくない」という人もいると思います。
また精神科では、患者さんと医師の各々の人生観も治療に影響することがあります。
◆医師に関するアンケート
特集1のコンボの2013年調査と2026年調査、そして私(夏苅)が行った2015年調査の3つを比較して、この13年で患者・医師関係は変わったのかを検討したいと思います。
なお回答者の年齢は、
2013年調査は30代~40代、
2026年調査では40代~50代が多く、回答者もちょうど10年ほど歳をとっているようです。
▼担当医に対する信頼について
この点は、根本的には大きく変わっていないようです。
問5の「現在の担当医を信頼できる」と回答した割合は、2013年調査、2026年調査、2015年の夏苅調査ともに6割前後がおおむね満足となっています。
10年以上経った現在も6割を維持していたことに安堵しました。
医療において「信頼」は生命線です。
これが5割を切ったとしたら医療崩壊のきざしともいえるので、6割維持はむしろ「あたりまえ」でなくてはなりません。
逆に7割以上をめざすように、医師はがんばらないといけないと思いました。
◆2015年のアンケート
今回のコンボの調査とは異なりますが、2015年の夏苅調査には、
「治療の選択肢について十分な情報を与えてくれるか」
「作業所やデイケアなど医療以外のことも教えてくれるか」
という質問があり、それは2割しか「とてもある(満足)」となっていませんでした。
生活支援や地域との協働について、10年経った今、精神科医はどれくらい評価されているのか調べてみたいと思いました。
▼担当医の変更について
「変更回数」もこの13年で大きな変化はなく、4回以上医師を変えた人の割合は3つの調査でどれも5割を超え、いぜんとして変更回数は多いという印象です。
「変更の理由」も大きな変化はなく、3つの調査ともに「医師側の理由」が1番、または2番目にあげられています。
残念ながら、病院や医師の都合に影響される状況は変わっていないようです。
「担当医との相性が合わなかった」や「治療方針に納得がいかなかった」は2013年より2026年のほうが割合が減っており(53→43%、41→30%)、共同で意思決定する機会が少しは増えているとも考えられました。
問7の「信頼できる担当医に出会った方法」は、2026年調査では「家族が見つけた(7→6%)」「友人や知人などが見つけた(6→3%)」割合よりも、「インターネット(SNS)の情報」の割合が大きく増えており(1→7%)、これは時代の流れでしょうか。
▼セカンドオピニオンについて
セカンドオピニオンを受けた人の割合は、2013年調査より2026年調査のほうが減っているものの(36→25%)、「担当医にセカンドオピニオン先を紹介してもらった」という回答の割合は2026年調査のほうが倍以上増えています(15→34%)。
セカンドオピニオンの利用自体は増えてはいませんが、担当医に内緒ではなく担当医をとおして紹介してもらっている実態が見られて、少しずつ普及しているように思えます。
セカンドオピニオンを受けて「満足や安心」と解答された人は、2013年調査(63%)でも2026年調査(60%)でも約6割を維持しており、セカンドオピニオンには一定の意義があるようです。
▼全体を概観して
調査からは、患者・医師関係の本質的な変化は13年を経ても大きくは変わっていないように思います。
現在、患者と医師との関係性に、新たにAIによる情報提供が加わる事態が起きています。
今後、それらが実際の治療関係にどのように影響していくのか、さらに追跡する必要がありそうですね。













