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第124回
欠格条項(221号)
○「こころの元気+」2025年7月号より
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筆者:大熊由紀子
障害者欠格条項をなくす会 共同代表
国際医療福祉大学大学院 教授
▼欠格条項とは?
特定の職業に就くことを妨げたり、権利を制限する法律上の規定。
日本では女に生まれたという理由だけで、選挙権も相続権も奪われていました。
この欠格条項に風穴をあけたのは、連合国最高司令部(GHQ)の憲法草案起草メンバーとして来日したベアテ・シロタ・ゴードンさんでした。
15歳まで日本で育ったベアテさんは日本女性の悲しみを知っていたのでした。
立ちふさがったのは日本政府の男性達でした。
「日本には、女が男と同じ権利を持つ土壌がない」
幸い、男女平等は憲法に盛りこまれました。
▼残った欠格条項
けれど、障害のある人々の欠格条項は残りました。
ここに風穴をあけたのは聴覚障害のある早瀨久美さんでした。
国家試験に合格したのに免許がおりないことが報じられ、差別法撤廃署名が223万筆も集まったのです。
日本薬剤師会まで声明を出し、2001年の法改正のきっかけになりました。
今、精神科病院入院歴のある弁護士、視覚障害や聴覚障害のある医師、てんかんの持病をもつ看護師が活躍しています。ただ、血のにじむような努力をしつつです。
▼差別を監視するシステム
2022年、国連の障害者権利委員会は、法制度に差別が残されているといった日本の数々の条約違反を正していくために、独立した国内人権機関の設置をするようにと勧告しましたが、実現していません。
ただ、手弁当の「障害者欠格条項をなくす会」が、障害の違いや障害の有無をこえて1999年に発足。
最近にも本(下記)を刊行しました。
共同代表で視覚と聴覚に障害のある東大教授、福島智さんは、この本の帯にこう書いています。
「学び、働き、遊ぶ。あたりまえの営みを、欠格条項は制限する。それは人生での挑戦に対する『門前払い』だ。」
編著:臼井久実子
発行:㈱解放出版社
定価:1650円(税込)
※この本は書店などでご注文ください。