訪問への不安(本人)


こころの元気+ 2012年12月号特集より


特集3
訪問への不安

ホームヘルプサービスとか訪問看護など、うちまで来てくれるサービスは、とても助かる一方で、利用していない人には、一方では、「ちょっと不安だな」という気持ちもあるようです。

そんな声を掲載しました。


まともな会話ができるか不安
岐阜県 山崎和子さん


私は五六歳の主婦です。
双極性感情障害でうつのときは寝たきりです。
夫と次女が同居していて生活面は全面的にフォローしてくれるので、訪問サービスは受けていません。
でも、一人になったときのことを考えると訪問サービスを受けなければ生きていけません。

夫の母が認知症で、介護している弟さんが身体障害者ですので、実家ではホームヘルパーさんが常時入っています。
その弟さんのような身体障害では、食事でこれをつくってほしいと材料も用意できますが、私の場合うつになると何を食べてよいのかも、冷蔵庫のなかをのぞくこともできません。

訪問サービスが入った場合、まともな会話ができるか心配です。掃除してもらうのも洗濯をしてもらうのも、どう意志を伝えるか迷います。

 


家に入ってほしくない
大阪府 またき亭いっぱいさん


ホームヘルプサービスとか訪問看護とか、わざわざ家まで来てくれるのってありがたいですよね。
けどね、実は私はこういったサービスは利用したくないんですよ。なぜかといいますと、家に入ってほしくない理由があるからなんです。

一つは部屋が片づいてない。なら片づけてもらえばいいじゃないかとお思いでしょうが、他人に自分の荷物を引っかき回されるのがいやなんです。そんなことをされて、自分の探しているものがどこにあるのか他人に聞かないとわからなくなるという状況が我慢ならないのです。

二つめは他人に見られたくない物がいっぱいあるからです。自分の部屋は自分が一番過ごしやすいようにつくられているはずです。男ならたとえ同性にでも見られたくない物が一つや二つはあるはずです。多くは語りませんが、その辺はお察しください。

このような理由から、私はホームヘルプサービスなどはお断りしています。ただし、生活保護のワーカーさんだけは入ってもらっています。ワーカーさんは、帰り際必ずこう言います。「はぁ~、こんなハードな現場はじめてやわ」。

 


不安はあるけど、今から期待してます
神奈川県 ケルトの霜さん


統合失調症の二三歳です。 訪問サービス、私はすごくやってほしいというか、今すぐにでも来てもらいたいくらいです。 心配することは、ほとんどないとは思いますが、異性だったらどうしようっていうのはすごくあります。

私もまだ二〇代なので、病院に行って検査などをするとき、年配の方がやった場合など、胸の辺りを触られたりして、すごく怖い思いを何度もしました。なので、異性の人だったら、逆に訪問サービスも怖いかなぁと思います。 他は、プライバシーがもれたらどうしよう、など。

仕事がばれたりしたらいやなので、そういうのがもれないように徹底していただきたいなと思っています。
いろいろメリット、デメリットはあるかと思いますが、魅力的なサービスであることはまちがいがないと思います。 どういうものなのか、今から期待しています。

 


相性よくても悪くても
千葉県 蝉丸さん


病気の当事者であり、地域活動支援センターのスタッフをしています。カウンセリングの勉強もしています。

今は、外に出られたけれど、ひきこもっているときに、アウトリーチが頼めたなら、何か変わっていたかもしれません。ただ、不安はなくはありません。相性のよくない人が来た場合、どうしたらいいのかとか…。

よほど、うまく外との世界とつなげてくれないと、アウトリーチで来た人との交流で満足してしまうかもしれないし、依存的になってしまうかもしれません。

お医者さんの診察やカウンセリングが、料金や場所、時間を決めて行うのは理由があります。お金がかかるなら、もとを取らないといけないから当事者はがんばります。
あと、その場所に時間通りに来るというのは、状況を変えていきたいという、本気度にもかかわってくる問題です。
だからアウトリーチの方は、訓練をし、うまく当事者を社会とつなげてくれないと、訪問することが事態の改善につながらない場合が、多く出るように思います。