Q 私は、統合失調症を患う三八歳の男性です。普段は、市内にある作業所に通っています。今までいろいろなアルバイトをしたりしましたが、いずれも長続きしませんでした。正規職員として働きたいと思いますが、アルバイトでさえ長期間継続できないので、むずかしそうです。わが家には、母親と二歳下の弟がいます。弟は塗装業の仕事をしています。父親は一年前に他界しました。母親は最近めっきり年をとったなあ、と感じています。
よく考えてみれば、まもなく七〇歳です。私は病気になって、一九年がたちますが、これまで何一つ母親に親孝行をしてこなかったなあ、と最近つくづく感じるのです。父親にもさんざん心配をかけて、何も親孝行をしてこなかったことを悔やんでいます。弟は、病気でもないのに、人生を真面目に考えていないのか、私からみるとふらふらしています。だから、母親もとても私たち兄弟のことを心配しているのではないかと思うのです。
どんな親孝行をしたらいいのか、いろいろ考えましたが、結婚もしていないので、孫の顔を見せてやることはできそうにありません。どうしたらよいのかよくわかりません。作業所の仲間にはなんとなく恥ずかしくて聞くことができないままでいます。他の皆さんはどうしているのでしょうか。皆さんのお知恵を拝借したく思います。
A ちょっとした幸せ/ピクチャーさん(鳥取県)
二七歳、統合失調症と診断されている私ですが、五二歳になる母にはいつも苦労をかけています。免許を持っていないので、車での移動は母に頼っていたりします。そんな私の持っている母とのいい関係性は、たまに温泉に行って二人でくつろいだりすることでしょうか。風呂は「命の洗濯」とはよく言ったもので、生きててよかったなぁという気持ちになれておすすめです。質問をされている方は男性なので、お母さまと一緒に入れないのがネックですね。
ご高齢のお母さまのようなので、数少ない楽しみとしてお風呂の改装とまでいかなくても、入浴剤にこだわってみるというのはどうでしょうか。親孝行というと仰々しいですが、そうしたちょっとした幸せ、気持ちのよさを提供してあげるというのも一つの手だと思います。
私自身、あなたができている親孝行は? と聞かれたら、何も言い返せないです。お金をかけずにできることだと、マッサージや耳掃除ぐらいでしょうか。ちょっと奮発したら、音楽のコンサートに行ったり、普段の食事のランクアップができますよね。
私の祖父も、弁当がまずいと普段グチを言っていたりするので、毎日の食事のランクアップはうれしいんじゃないでしょうか。おいしいものを食べるというのは、なんだかんだ最終的に残る幸せの種だと思います。一度、日々のお食事に満足されているかそれとなく聞いてみるというのもいいんじゃないでしょうか。
A 親不孝について考えてみる/法田友里恵さん(神奈川県)
親孝行について考えているのですね。これはまさに私が今一番に悩んでることだったので、かなりつたなくて頼りない意見ですが述べたいと思います。逆説的に親不孝とはなにかを考えてみませんか? 親不孝…と聞いて思い浮かぶことはなんでしょうか。いろいろとあるかとは思います。私はこの間まで今、自分がここにいること自体がすでに親不孝なのでは…と思いつめていました。生まれてから今までずーーーっとさんざんいろんな病気になり、そのたびに心配をかけ、お金をかけてもらって…もう三十路もとうに越えているのにいまだに親からの自立もかなわず、すねをかじって暮らす私です。こんな私がいるからいけないのでは、と思うと自分があまりに情けなくて消えていなくなりたいような気持ちでした。
だけどもしも本当に私がいなくなったら? 親は果たして幸せだろうか…と考えるようになりました。うちの親はとても子煩悩なやさしい人たちです。その両親が子どもに先立たれたらきっとものすごく自分たちを責めるでしょうし、自分たちのしてきたことはなんだったのか、と悩み、苦しむだろうと思ったのです。それではあまりにも申し訳がありません。だからとにかく今、自分がするべき小さな目標をこなして、やがて大きな親孝行につなげるべく努力を続けることにしました。世間的な親孝行には遠く及ばないですが、私なりの親孝行の解釈です。