→コンボのトップページへ戻る ▼2025年10月号「こころの元気+」より
筆者:鈴木高男(茶房つむぎのマスター/摂食障害ポコ・ア・ポコ 代表)
すずき・たかお●摂食障害の娘と向き合う中で家族会の必要性を痛感。平成10年に家族会を結成。
家族会やインターネットを通じ、情報提供や相談を受けている。
家族の相談カフェ「困ったことはマスターに聞け」は、今月をもちまして連載が終了となります。
約12年という長きにわたり掲載の場をいただいたこと、皆様に支えられてきたことに、心より感謝いたします。
最終回に寄せて(最終回のため全文を公開部分に掲載いたします)
この連載では、家族から寄せられるさまざまな悩みや困りごとに耳を傾け、それに対する私なりの考えや経験をお伝えしてきました。
最初は「誰かの役に立てれば」という気持ちでしたが、寄せられた相談は、私自身の学びや気づきとなることが多かったと思います。
家族には、知恵や工夫・ヒント・気づきがたくさんあります。
それを自分達が日常生活の中でどのように活用していくかは人それぞれですが、家族支援の力が大きくなっていくことで、本人の「回復への力」も強くなっていきます。
医療者との違い
医療者と家族では、果たす役割が違います。
医療者は治療の専門家ですが、家族は日常生活で本人と信頼関係を築き、心のケアをし、共に困難を考え、本人の心の成長やパーソナリティの形成を支える役割があります。
本人はもちろん、支え手である家族にとっても、日常での困難ははかりしれません。
「どう接したらよいのか」
「もう限界かも」といった声を、何度も聞いてきました。
そのたびに私は「家族もまた支えが必要なのだ」と痛感してきました。
この12年で、家族の苦しみや葛藤は少しも変わりませんが、同時に「家族の力が本人の回復を支える」という確信も強まりました。
家族が迷いながらも寄り添い、時に一歩引き、時にそっと背中を押す、その積み重ねが本人の大きな支えになることを、多くの現場で見てきました。
私の願い
連載終了は1つの節目ではありますが、ここでお伝えしてきた
「家族だからできること」
「家族にしかできないこと」
を、これからも忘れずにいてもらえたらと願っています。
そして家族自身が孤立せず、自分を責めず、支え合える場所や人とつながり続けてほしいと願っています。
最後に
この連載を通して出会えたすべての家族、本人、支援者の皆様に深く感謝します。
この場が少しでも日々の力になれていたなら、うれしく思います。
これからも、それぞれの場所で奮闘するご家族を心から応援しています。