→コンボのトップページへ戻る ▼2025年11月号「こころの元気+」より
どんなふうに伝えればいいんだろう?
〈連載について→コチラ〉
第8回
私なんか生きている価値がない(その1)
筆者:池淵恵美
神経科土田病院/帝京大学名誉教授
▼外来に来た幸子さん
ある日外来に、両親と30代後半の幸子さんが来ました。
幸子さんは20歳の頃、被害妄想や幻聴があってしばらく入院生活をおくり、その後は仕事がうまくいかず、ずっと自宅で過ごしていましたが、通院や服薬はきちんとしていました。
▼夜中に出かける理由
でも最近、毎日夜中に出かけるので母親が問いただすと、
「このまま生きていても仕方がないから、何とか死にたい。道路の真ん中を歩いて車にひかれたい」
「ひき逃げで親に保険金が入れば親孝行になる」
と話すので、驚いた両親が、幸子さんと筆者の外来を訪れたのでした。