どんなふうに伝えればいいんだろう?
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第3回
「早く仕事を」と叱ってくる声
筆者:池淵恵美
神経科土田病院/帝京大学名誉教授
(※筆者より:SST普及協会30周年記念事業を開催します→コチラ)
▼幻聴との対話
皆さんのまわりにも、幻聴が続いて苦しんでいる人がいるのではないかと思います。
わが国ではどうしても「幻聴は病気の症状であり、薬物療法で改善すべき」という考え方が専門家の間では支配的で、もう効果が頭打ちになっているのに、さらに薬を追加して、眠気やだるさに苦しんでいる人がけっこういます。
オランダや英国ではかなり前から、幻聴があってもうまくつきあっていて、医療を受けていない人の存在が知られていました。
そういう人の対処方法に習って幻聴にうまく対処できるようになるためのプログラムも開発され、わが国でも翻訳版(*)が出されています。
(*丸善出版から、「日本版 症状自己管理モジュール」や「精神障害を持つ人の退院準備プログラム」として、DVDやCD-ROMが販売されています)
何も海外に例を求めなくても、べてるの家の人達が、「幻聴さん」とうまく対話して生活している様子は(本誌の連載「べてるの家の当事者研究」や)テレビでも何回も放映されましたから、皆さんもごぞんじと思います。
幻聴は当事者の中にある体験や考えを…