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身体・脳・こころを整える 知っておくべき身体合併症


第5回 (※連載について→コチラ)

精神疾患と心臓病の関係

著者:尾崎紀夫(名古屋大学 精神疾患病態解明学 特任教授)
 

尾崎先生より:当事者・ご家族へ。精神医学研究へのご意見・ご希望をぜひお寄せください。
http://prenatal.nupsy.jp  (ログインID:nagoya-u パスワード:sk25ugsk を打ちこんでログインしてください)


今回のポイント  

◦心臓病は世界の死因第1位で、抑うつ状態になると死亡率が上がる
◦精神疾患の当事者は心臓病になりやすく、治療薬には心臓に影響するものもある
心臓のことも考えながら診療を受けることが大切

 


心筋梗塞の予後に抑うつ状態が悪影響をおよぼす


世界保健機関(WHO)がまとめている全世界の死因第1位は心臓病、特に心臓に栄養や酸素を送る血管が詰まる虚血性心疾患(心筋梗塞など)で、日本でもガンに次ぐ死因第2位という重大な疾患です。

この心臓病による死亡を減らすため、影響を与える要素が検討されてきました。
その結果『心筋梗塞を起こした後(予後)、抑うつ状態(うつ病も含む)になっている患者は死亡リスクが高い』と発表されて注目されました。
この結果は、我が国を含む世界各国で確認され、間違いがない事実だと考えられています。



抑うつ状態が心筋梗塞の予後に悪影響をおよぼす理由(メカニズム)として、抑うつ状態になると意欲が低下して、心筋梗塞の治療(生活習慣の改善も含む)もキチンと受けないという点が大きいと考えられています。
それ以外にも、抑うつ状態に伴う脳や身体の変化が、心臓や心臓に栄養や酸素を送る血管に悪影響をおよぼすのではないかとの報告もあります。
この点を踏まえ…

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