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特集9 ガイドラインとガイド


著者:坪井貴嗣(杏林大学医学部 精神神経科学教室講師)

 

ガイドラインとは?

医療におけるガイドラインとは、当事者と主治医などの医療者を支援する目的で作成された文書で、医療現場における治療などの意思決定のときに助けとなることを意義・目的としています。
つまりガイドラインは、当事者と医療者が治療という道を共に歩んでいくうえでの道標となるものです。

2012年に、わが国において初めて『日本うつ病学会治療ガイドラインⅡ.うつ病(DSM-5※)/大うつ病性障害』(以下うつ病治療ガイドライン)作成されました
具体的には、「重症のうつ病患者さんにはどのような治療が推奨されるか」などが、科学的な根拠をもとに書かれています。
(※DSM-5:米国精神医学会が作成し、日本語に翻訳された診断基準集)

その後改訂された『うつ病治療ガイドライン第2版』の序文には
「治療方針の決定において、当事者や家族、専門家と共に双方向性に決定する手法、Shared Decision Making(共同意思決定 以下SDM)が広まりつつあるが、本書はこのSDMをより円滑に進めるための情報提供の役割も担う。うつ病に関わるすべての方へ適切な情報提供が可能となることを願っている」
と書かれており、精神科医だけでなく、当事者やその家族まで広く使われることを目的としました。


ガイドとは?

しかし、実際に読まれた方の感想はいかがでしょうか?
多くの方が「専門用語が多すぎてわかりにくく、途中で読むのを挫折してしまう」と感じるのではないでしょうか?

また最近では、ガイドラインの作成に当事者や家族が参加・関与することがすすめられており、
さらに専門家向けのガイドラインを当事者・家族向けにわかりやすく解説したガイドを作成することも同時にすすめられています。

そこで私達はコンボや当事者の方々にもご協力いただいて、『当事者・家族のためのわかりやすいうつ病治療ガイド』を作成しました。

専門的でむずかしいうつ病治療ガイドライン本体を、当事者・ご家族にとって必要な部分だけ抜き出し、解説するよう心がけました。
さらには当事者やご家族からの質問や意見に専門家がお答えするような章も設け、ガイドライン本体よりも、より当事者やご家族に役立つよう工夫しました。
このようにしてできたガイドを、私達はSDMを行う際に使っていただきたいと思っています。

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