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特集10 『夜と霧』が教えてくれる最後の自由


著者:星野概念 (精神科医・ミュージシャン)

(『夜と霧』(みすず書房)は、精神科医・心理学者のヴィクトール・フランクルのナチスの強制収容所経験にもとづいた本です。
収容所という絶望的な環境の中で希望を失わなかった人達の姿が描かれています。1946年に出版され、1956年に日本語版が刊行され、現在でも発売されています。)


リカバリー

「リカバリー」という言葉があります。
この言葉、何となく感覚で捉えることはできるのに、明確に定義するのはとてもむずかしいです。

「何かしらの疾患や不運なできごとなど、それまでの流れが大きく変わらざるを得ないような困難さの影響を受けたとき、それを乗り越えたり、困難さと共にありながら、でも希望を持っていきいきと生活できるようになること」
が「リカバリー」です。
ほら、むずかしい……。


希望が砕かれたとき

僕は、学生時代も社会人になってからもバンド活動に夢中でした。
何の根拠もありませんでしたが、なぜかあっという間に売れると確信していました。
でも、結局十年間活動しても売れませんでした。
希望が絶えたこの時期の絶望感は今でも覚えています。

『夜と霧』の中にも、クリスマスには家に帰れるという素朴な希望を抱いていた人達が…


 

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